2010年08月19日

年金払いの生保への二重課税の認定、住宅資金贈与の非課税枠拡大

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2010年8月号 ★

今年の夏は暑い日々が続いております。
お元気でお過ごしでしょうか。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

◆ 平成22年8月の税務

8月10日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8月31日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告

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○個人事業税の納付(第1期分)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)




◆ 最高裁判所:年金払い生保への二重課税認定!

 7月6日、生命保険金を遺族が年金として分割で受け取る場合に、相続税と所得税の両方が課されることが所得税法で禁じられた二重課税に当たるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は二重課税に当たり、違法との判断を示しました。
 これにより、「課税は適法」とした二審・福岡高裁判決を破棄し、所得税の課税処分を取り消し、原告側勝訴とした一審・長崎地裁判決が確定しました。
 国側の訴訟資料によりますと、国側はこうした二重課税を、42年間にわたり続けており、徴収済みの所得税の返還請求や税務実務の見直しなど、大きな影響が出るとみられています。

※年金払い生活保障特約付き終身保険
 保険をかけられた人が死亡した時に支払われる保険金を、遺族などの受取人が一時金と年金に分けて受け取れる生命保険
 年金部分は、10年など一定期間、毎年決まった額を受け取れる仕組みで、残された家族が一度に多額の保険金を受け取って管理するよりも、定期的な収入として受け取ったほうが生活設計しやすいとのニーズから人気が高まっている。

(注意)
 上記の記載内容は、平成22年7月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


◆ 住宅資金贈与の非課税枠拡大

 直系尊属(父母、祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠についての今年の改正点を整理します。


◇1000万円の期限切れ廃止
 
 適用者は少ないと思いますが、相続時精算課税選択者に適用されていた、通常の特別控除2,500万円にさらに住宅資金特別控除額1,000万円を上積みする制度は昨年末を以て期限切れとなって廃止されています。
 廃止の理由は、役割を終えたからというよりも、もっと広い対象者への制度に変更したことに拠ります。

A.昨年立法の非課税制度は生きている
 21年1月1日から平成22年12月31日までの間の住宅取得資金贈与の非課税枠を500万円とする新設立法が平成21年6月26日になされましたが、この法律は今でもそのまま生きています。
 この制度には、資金受贈者についての要件として年初で満20才以上の者としているだけで、所得制限はありませんでした。

B.昨年立法の非課税制度に対する変更
 上記の非課税枠500万円の制度につき、昨年中すでに適用を受けている人に対して、平成21~22年中の累積贈与限度額を1,500万円と設定し直す改正がなされました。
 但し、平成22年における贈与については、年初で満20才以上の者との従来要件の外に、合計所得金額が2,000万円以下であることとの受贈者制限が付加されました。

C.新規非課税制度を別途立法
 ① 平成22~23年中の贈与  1,500万円
 ② 平成23年中のみの贈与  1,000万円
 受贈者要件は前記のものと同じで、年初で満20才以上、受贈年の合計所得金額が2,000万円以下です。


◇A、B、Cの選択適用関係
 
 昨年中に500万円非課税制度の適用を受けた人の場合は、A又はBの選択となります。Cの選択肢はありません。追加の受贈は平成22年中に終わらせなければなりません。選択の基準は所得制限に抵触するかどうか、です。
 昨年の制度の適用を受けてなかった人の場合には、AとCの選択になります。BよりもCが確実に有利ですので、Bの選択肢がないことは不都合ではありません。ここでも選択の基準は所得制限です。
 なお、いずれのケースにおいても、贈与者の側には特に年齢制限要件はありません。


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川口 明彦 税理士事務所
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