2014年10月07日

外壁塗装工事は、修繕費か、取得原価か?チーム目標の設定

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2014年10月号 ★

日増しに秋も深まり、朝夕は肌寒く感じます。
秋の夜長、いかがお過ごしですか。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

平成26年10月の税務

10/10
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額
の納付

10/15
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知

10/31
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

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○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)


修繕費か取得価額か 外壁塗装等の工事費

 所得税及び法人税において、賃貸ビル、事業用ビルの外壁塗装や室内の壁紙の張り替え等(以下、外壁塗装等)の工事費は、通常、修繕費として必要経費又は損金の額に算入されます。


◆事業供用後の外壁塗装等の処理
 
 これら外壁塗装等は、通常、当該資産の価値の増加又は使用可能期間を延長させるものではなく、減価償却資産であればこそ生ずる、よごれ、さび、しみ、損傷等の現象を予防し、現状を維持することで、予定された機能を発揮させるための欠くことのできない、いわゆる機能の維持管理のための費用といえます。
 したがって、所得金額の計算上、金額の多寡にかかわらず、修繕費として処理されます。


◆事業供用時の外壁塗装等の処理
 
 最近、中古ビル(賃貸ビル、事業用ビル)の市場が活況を呈しています。築15年程度を経過した中古ビルを購入し、事業の用に供するため外壁や室内をきれいにするために塗装、壁紙の張り替えをすることはよくあります。
 この場合の外壁塗装等は、無条件に修繕費として処理されるものなのかどうか気になるところです。
 所得税、法人税では、購入した減価償却資産の取得価額は、次に掲げる(1)と(2)の金額の合計額と規定しています。

(1)当該資産の購入代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)

(2)当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の価額
 
 この規定からすると、中古ビルを取得し、それを事業の用に供するために支出した外壁塗装等の工事費は、修繕費ではなく、取得価額を構成すると考えられます。


◆悩ましい判断
 
 現に事業の用に供されている賃貸ビルの取得にあたっての外壁塗装等の工事費については、微妙な問題を招来させます。このような場面に遭遇したときは、当該外壁塗装等の支出が取得価額を構成するか、それとも修繕費として処理されるかで課税所得に大きな影響を及ぼしますので、外壁塗装等の実施時期については、慎重な判断が求められます。


チーム目標の設定


 今日のように、商品・サービスに対する顧客ニーズが多様化し、一方で社員の専門知識・技術・技能が細分化されている事業環境の下では、異なる専門分野を持つ複数の社員がチームを組んで目標を設定、両者のシナジーを活かして達成を図らなければならないケースが多くなってきました。


◆チーム目標設定のケース
 
 代表的なケースは自社の商品・サービスに関する特定分野の技術・技能を得意とする社員とIT技術に長けた社員とが協力してチーム目標の設定と達成に取り組む場合があります。
 また、担当業務が近接する部署間の協力で目標達成が必要になる場合もあり、多くは経営上重要な課題を解決するプロジェクトチームが活用されます。
 例えば、「目標管理制度の機能強化」について、経営管理スタッフ担当部署と人事評価担当部署でプロジェクトチームを編成するなどのケースです。 


◆チーム目標設定の合意形成方法
 
 チーム目標をうまく設定するには、課題の捉え方、目標達成方法に関する社員の参加の仕方にカギがあり、管理者が次の進め方を採ると社員の創意でやる気を伴ったチーム目標の設定が出来ます。

(1)管理者は、社員が日常の業務を通じて、現場で、重要な課題、問題を発見しており、それらを生の情報として引き出し、目標設定や、チーム編成などに活用することで、部下全員の活力を生み出す自己の役割を認識する。

(2)「目標設定会議」を主宰し、経営目標を理解させた上で、全員発言による次のファシリテーションを行なう。
・(1)の情報を引き出し、部署の重要な課題を抽出して目標を設定する。
・目標達成の方法として、部署内のチームを活用すべきか、部署間のプロジェクトチームを活用すべきか、意見を出し合い、合意形成を図る。


◆経営者の留意点
 
 「社員が日々働いている現場で見聞きした現物・現実の中に目標設定、目標達成方法の重要なタネがあり、管理者はそれらを社員の参加によって引き出し、活用する必要がある」と認識し、管理者にマネジメントの改善を要請しましょう。


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川口 明彦 税理士事務所
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