2016年03月08日

受取利息の源泉税が変わります、残業削減の取組み

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2016年3月号 ★


季節の変わり目の不安定な天候が続きますね。
くれぐれもご自愛下さい。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

平成28年3月の税務

3/10
●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

3/15
●前年分所得税の確定申告
●所得税確定損失申告書の提出
●前年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出
●個人の青色申告の承認申請
●前年分贈与税の申告
●国外財産調書の提出
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告

3/31
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>



受取利息の源泉税が変わります


◆多くの方が忘れておりました
 
 平成28年1月1日以降法人が受け取る預金の利子には、地方税(都道府県民税利子割)が課税されなくなりました。
 この改正は平成25年の税制改正でなされましたが、既に多くの方が忘れてしまっていると思われます。
 平成27年12月31日までに法人が受け取った預金の利子には国税15.315%、地方税5%の源泉税がかかっておりましたが、平成28年1月1日以降法人が受け取る利子には地方税5%の源泉税がかかりません。


◆法人の経理担当者は要注意
 
 個人の方は、従来通りなので、特に気にする必要はありませんが、法人の経理を担当されている方は、経理処理に注意が必要です。
 通常、預金の利子は源泉徴収税額を控除した残額が通帳に記載されます。
 通帳に797円の利子が記帳されていた場合を例に説明いたしましょう。
 従来は797円を国税と地方税合わせて20.315%の源泉税が控除された残額と認識し、利子は797円÷0.79685=1,000円として以下の処理をしておりました。
(預金)797      /(受取利息)1000     
(法人税等)153国税
(法人税等)50地方税
 しかし平成28年1月1日以降に受け取る利子には地方税が課税されておりませんので以下の処理となります。
 797円は国税の15.315%が控除された残額ですから、割り返す率は100%-15.315%=84.685%となります。
797円÷0.84685=941円が受取利息の金額となり、以下の処理となります
(預金)797      /(受取利息)941
(法人税等)144国税


◆2月の経理処理は注意しましょう
 
 定期預金の利子は、その内訳が通知されますので、地方税が源泉されていないことに気が付きますが、普通預金の利子は単に通帳に源泉徴収後の金額が記載されるだけです。2月は多くの銀行の普通預金の利子が計上される月ですので注意してください。


残業削減の取り組み

 独立行政法人労働政策研究・研修機構が従業員100人以上の企業約2500社から回答された調査の結果、最近過去1年における1カ月当たり所定外労働時間は平均24.5時間でした。また、過去1カ月当たり45時間超えの所定外労働時間労働を行った正社員が1人でもいた企業の割合は76.5%で、60時間超えが61.4%、80時間超えは39.9%でした。これらの時間超えの多かった業種は「建設業」「製造業」「情報通信業」「運輸業・郵便業」「学術研究、専門、技術サービス業」でした。


◆今後の方向性
 
 上記の企業に年間総労働時間の今後の方向性について聞くと「現状の通りでよい」の回答は49.2%、「短縮してゆく」は45.7%でした。
 エン・ジャパンが2014年に行った調査では「業務分担やフローの見直し」「管理職への教育」「残業の事前申請制」の3つが実施効果のあったものとされています。これらは「経営トップからの呼びかけや経営戦略化よる意識啓発」、「所定外労働の事前届出制の導入」、「仕事の内容・分担の見直し」で、経営戦略として残業削減に取り組む事が効果的であると言えるでしょう。


◆残業時間削減に効果のある取り組み方
 
 先の機構の調査結果では、実施した企業で所定外労働時間の短縮効果が高かったのは「強制消灯、PCの一斉電源OFF」「経営トップからの呼びかけ」「経営戦略化による意識啓発」「社内放送や終業ベル等の呼びかけ」「労働時間管理や健康確保にかかる管理職向けの研修・意識啓発」等の取り組みとなっています。
 50人以上事業場のストレスチェック制度実施も始まり、労働者の健康管理にさらに気を配る必要が出てきました。また、労働基準法の改正の動向も中小企業でも残業時間月60時間超えの場合に割増率を5割にする案が出ていますし、年次有給休暇のうち年5日を強制取得とする案も挙がっています。残業時間の削減を考える企業では、これから削減に向けた取り組みの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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