2017年01月30日

年金受給権、平成29年度税制改正 個人所得税編

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2017年2月号 ★

立春を目前にしていますとはいえ、まだまだ寒さ厳しき折り柄、
お風邪など召されませぬよう、お気をつけください。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

平成29年2月の税務

2/10
●1月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

2/28
●前年12月決算法人及び決算期の定めのない人格なき社団等の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●6月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、9月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の11月、12月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(10月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○前年分所得税の確定申告(2月16日から3月15日まで)
○前年分贈与税の申告(2月1日から3月15日まで)
○固定資産税(都市計画税)の第4期分の納付


10年で年金受給権ができる


◆新たに64万人が年金受給
 
 年金の受給資格を得るのに必要な保険料の納付期間を25年から10年に短縮する改正年金機能強化法が成立しました。老齢基礎年金の納付期間は現在の25年から10年に短縮されました。平成29年8月から施行され10月に第1回目が支払われます。
 日本では「無年金者」(無年金見込者含む)は118万人と推計されています。65歳以上の無年金者の約6割は保険料納付期間が10年未満です。平成29年8月以降は25年の年金受給資格期間を充たさない無年金の高齢者も10年以上の加入期間(免除・猶予・カラ期間を含む)があれば保険料を納めた期間に応じた年金が支給されることになります。


◆外国の年金加入期間
 
 外国での年金受給資格期間はアメリカの約10年、イギリスでは一定以上の収入の人が加入する事となっており加入期間は特になく、ドイツの加入期間は5年、フランスやスウェーデンは加入期間の決まりはありません。今後少子高齢化の日本では労働力人口が減少し、保険料収入も縮小すると考えられます。そして他国からの外国人の受け入れ人数が増えて行くものと考えられます。他国の方が日本で働き、本国に戻って65歳から日本から年金が受けられたら魅力的でしょう。


◆いくら受給できるか
 
 新たに受給できるようになるのは保険料を払った期間が10年以上25年未満の人で、過去にさかのぼっては受給できません。
 年金額は保険料の納付期間に応じて支払われます。国民年金の場合は加入期間が10年で月約1万6千円、20年で約3万2千円、40年では満額の6万5千円となっており、10年で支給された額では生活費の補てん程度にしかなりません。また、10年で受給ができるなら満額まで納めなくともよいと考える人も出てきそうです。
 手続は加入が10年以上あった方は年金の請求書が送られてきますので、記入押印して年金事務所に提出します。しかし保険料免除やカラ期間を含めて10年以上になる方には請求書は送られてこないので自身でカラ期間の確認を行い、請求する事が必要です。



平成29年度税制改正 個人所得課税編


 平成28年12月8日、平成29年度税制改正大綱が発表されました。先ず、「個人所得課税」について、主な改正項目につき、内容を概観してみます。


●配偶者控除等の見直し
 
 配偶者控除については、合計所得金額1,000万円を超える居住者については、適用できないこととし、居住者の合計所得金額が900万円を超えると38万円(老人配偶者48万円)の控除額が徐々に縮減し、1,000万円超ではゼロになる、3段階で逓減する仕組みになっています。
 また、配偶者特別控除ですが、配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下でも9段階で逓減しながら控除が受けられますが、上記の居住者の合計所得金額に応じて控除額も変わってきます。
 例えば、居住者の合計所得金額900万円以下で配偶者の合計所得金額が95万円超100万円以下であれば26万円の控除、となっています。
 この改正は、平成30年分以後の所得税からの適用となっています。


●積立型の少額投資NISAの創設
 
 制度の内容は、積立投資限度額年間40万円、期間20年、その間の配当、譲渡等は非課税、但し、譲渡損はないものとする、です。現行のNISAとは選択適用となっています。
 上記改正は、平成31年分以後の所得税からの適用となっています。


●リフォーム減税の拡充
 
 既存住宅(特定の増改築等含む)の耐震改修・省エネ改修に加え、一定の耐久性向上改修工事を実施した場合、ローンの利用による減税額(税額控除)は最大62.5万円、自己の資金による場合は最大50万円となる措置が講じられています。
 また、固定資産税(工事翌年度)も3分の2減額になります。
 一定の耐久性向上改修工事とは、50万円を超える工事で、①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事又は給排水管等に関する維持管理・更新を容易にするための工事で、認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであること等、です。
 この改正は、増改築等をした居住用家屋を平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供した場合に適用となっています。

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