2019年09月27日

中小企業会計のルール、消費増税と住宅税制

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2019年10月号 ★


秋の気配も次第に濃くなり、穏やかな季節になってきました。
いかがお過ごしでしょうか。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2019年10月の税務

10/10
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

10/15
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知

10/31
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)


10月から適用されるマイホームの特例 消費税増税と住宅関連制度
 
 いよいよ本年10月からの消費税率引き上げが迫ってきました。税率引き上げの影響の大きい住宅については、税制上の対策だけではなく、税制以外の対策も取られています。


◆住宅についての税制上の対策措置

(1)住宅ローン控除等の拡充(所得税)
 
 消費税率10%の適用を受ける住宅の取得等については、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住の用に供した場合、住宅ローン控除の適用期間が10年間から13年間に延長されます。


(2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠の拡充(贈与税)
 
 直系尊属からの贈与により取得した住宅取得等資金で一定の要件を満たすものについては、非課税限度額までの金額について贈与税の課税価格に算入されません。従来の非課税枠は最大1,200万円でしたが、消費税率10%の適用を受ける住宅については、非課税枠が最大3,000万円まで拡充されています。


◆税制以外の対策措置

(1)すまい給付金の拡充
 
 すまい給付金は、消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設した制度です。消費税率が8%に引き上げられた平成26年4月にスタートした制度で、最大30万円給付されるものでした。本年10月の消費税率10%への引き上げ後は、最大給付額が50万円まで増額されます。
 新築・中古、住宅ローンの利用の有無にかかわらず給付が受けられますが、収入(都道府県民税の所得割額)によって給付額が変わる仕組みとなっています。

(2)次世代住宅ポイント制度の創設
 
 次世代住宅ポイント制度とは、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や家事負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームをした人に対し、さまざまな商品と交換できるポイントを発行する制度です。
 住宅の新築(貸家を除く)の場合、1戸あたりに発行されるポイントの上限は35万ポイント、住宅のリフォーム(貸家を含む)の場合、1戸あたりに発行されるポイントの上限は30万ポイントです。


中小企業の会計ルール
 
 平成30年3月に「収益認識に関する会計基準」が公表されました。これを踏まえ平成30年度税制改正において資産の販売等に係る収益に関する規定の改正や、法人税法における収益の計上時期等についての改正が行われました。
 一方で、中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められることとされています。
 では、中小企業は公正妥当な企業会計を実現するためどういった会計基準に準拠すべきなのでしょうか。


◆会計の目的
 
 会計の目的は、株主や会社債権者といった利害関係者に対して会社の財政状態や経営成績に関する情報を提供することにあるとされています。また、適正な会計基準に基づく計算書類を作成することは、経営判断や融資判断にも欠かせません。


◆公正妥当な企業会計とは
 
 平成17年に制定された会社法は、株式会社の会計について431条で「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うべき旨の包括規定を設けています。株式会社の会計については、多くの事項が会社計算規則に委ねられています。このため、会社計算規則に規定されていない事項については「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」として個別の会計基準や実務指針に基づき処理されることとなります。


◆「指針」と「要領」
 
 中小企業の会計ルールとして、会計参与制度の創設に伴い平成17年に「中小企業の会計に関する指針」が公表されました。また、平成24年には中小企業の会計に関する検討会によって「中小企業の会計に関する基本要領」が公表されました。
 「指針」は、一定の水準を確保しつつ利用しやすいものとなるよう毎年見直しが行われています。
 「要領」は、主に比較的小規模な企業を対象としているため、「指針」と比較して記載内容が必要と考えられる範囲に限定されている点には留意が必要ですが、日本税理士会連合会が作成しているチェックリストを活用することで、計算書類が要領に準拠しているかを確認することができます。
 いずれも中小企業の会計の質の向上のためわかりやすく解説されていますので、両者の違いを理解したうえで広く活用されることが期待されています。



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