2021年05月22日
M&A促進税制、令和3年度住宅ローン税制
★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2021年6月号 ★
日中はもう汗ばむ陽気となりました。
暑い季節に向かいますゆえ、なにとぞご自愛ください。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
2021年6月の税務
6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付
6月15日
●所得税の予定納税額の通知
6月30日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定める日)
控除可能期間が13年に延長 令和3年度住宅ローン控除の改正
◆対コロナの限定延長が全体に適用へ
令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、13年間適用になりました。この適用を受けるには注文住宅の場合、令和2年10月〜3年9月に契約したもの、分譲住宅等の場合、令和2年12月〜3年11月に契約したもので、4年12月までに入居した住宅が対象です。
今回の改正では令和2年度には要件としてあった「新型コロナウイルス感染症の影響」は含まれていないので、契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満たしていれば、消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、13年間の控除が受けられます。
◆新設された40平方メートルのルール
さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、「40平方メートル以上」に拡充されました。ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。
この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです。床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と内法面積(壁の内側から測定)の2種類があります。分譲マンション等の場合、インターネットや販売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、広告では40平方メートルを超えているのに、住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の内法面積で見ると40平方メートルを下回る可能性もあります。内法面積が40平方メートルを超えないと住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください。
◆控除率1%が問題視されている?
今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、令和元年に出された会計検査院の指摘事項の中に「借入残高の1%を税額控除するのははたして妥当なのか。金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば控除割合の低下による制限が出てくる可能性もあります。今後の動きに注目です。
M&A促進税制
◆M&Aの環境
経済産業省は、1年ほど前に公開した「中小M&Aガイドライン」でM&Aの後押しをする姿勢を鮮明にしています。
「中小M&Aガイドライン」によると、2025年までに、平均引退年齢の70歳を超える中小企業の経営者が約245万人おり、うち半数の約127万人が後継者未定とのことです。
廃業による経営資源の散逸が積み重なることにより、優良な経営資源が活用されないまま喪失されてしまうことは、日本経済の発展にとって大きな損失との認識で、M&Aの普及がその対策として有効な方法とされていて、生産性の向上にも資するとしています。そして、10年で60万、年平均10万のM&A契約を成就するとの計画を立てています。
◆計画実現のために役割喚起
そのため、売り手・買い手を繋ぐM&A専門業者の活性化を期待するとともに、商工団体、金融機関、弁護士・公認会計士・税理士といった各分野の専門家に向けても、それぞれの分野別にM&A支援として期待される役割や留意点などを提示しています。
M&A業界は、30年ほどの歴史の新興産業で、現在の専門業者数は300社程度とのことです。日税連もホームページでM&Aのマッチングをすすめています。
◆M&A促進税制
令和3年度税制改正の中に、M&A促進税制が二つあります。
1.株式交付M&Aでの譲渡益繰延制度
2.M&A投資リスクに備えるための株式取得価額の70%損金算入制度
株式交付の場合の譲渡益繰延制度創設は、2019年中に経産省が改正要望事項としてあげていたものですが、会社法の株式交付制度創設の施行予定が2021年3月1日となっていたので、1年遅れでの立法となりました。これは、売り手側への優遇税制です。
もう一つの優遇税制は、買い手側に対するものです。
M&A対価の70%損金算入の新制度の要件は次の内容です。
・青色申告中小企業者が対象
・経営力向上計画による取得
・株式の取得価額10億円以下
・投資損失準備金の計上
・6〜10年経過時準備金の取崩し
・中小経営強化法改正が前提
・令和6年3月31日まで適用
日中はもう汗ばむ陽気となりました。
暑い季節に向かいますゆえ、なにとぞご自愛ください。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
2021年6月の税務
6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付
6月15日
●所得税の予定納税額の通知
6月30日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定める日)
控除可能期間が13年に延長 令和3年度住宅ローン控除の改正
◆対コロナの限定延長が全体に適用へ
令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、13年間適用になりました。この適用を受けるには注文住宅の場合、令和2年10月〜3年9月に契約したもの、分譲住宅等の場合、令和2年12月〜3年11月に契約したもので、4年12月までに入居した住宅が対象です。
今回の改正では令和2年度には要件としてあった「新型コロナウイルス感染症の影響」は含まれていないので、契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満たしていれば、消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、13年間の控除が受けられます。
◆新設された40平方メートルのルール
さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、「40平方メートル以上」に拡充されました。ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。
この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです。床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と内法面積(壁の内側から測定)の2種類があります。分譲マンション等の場合、インターネットや販売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、広告では40平方メートルを超えているのに、住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の内法面積で見ると40平方メートルを下回る可能性もあります。内法面積が40平方メートルを超えないと住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください。
◆控除率1%が問題視されている?
今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、令和元年に出された会計検査院の指摘事項の中に「借入残高の1%を税額控除するのははたして妥当なのか。金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば控除割合の低下による制限が出てくる可能性もあります。今後の動きに注目です。
M&A促進税制
◆M&Aの環境
経済産業省は、1年ほど前に公開した「中小M&Aガイドライン」でM&Aの後押しをする姿勢を鮮明にしています。
「中小M&Aガイドライン」によると、2025年までに、平均引退年齢の70歳を超える中小企業の経営者が約245万人おり、うち半数の約127万人が後継者未定とのことです。
廃業による経営資源の散逸が積み重なることにより、優良な経営資源が活用されないまま喪失されてしまうことは、日本経済の発展にとって大きな損失との認識で、M&Aの普及がその対策として有効な方法とされていて、生産性の向上にも資するとしています。そして、10年で60万、年平均10万のM&A契約を成就するとの計画を立てています。
◆計画実現のために役割喚起
そのため、売り手・買い手を繋ぐM&A専門業者の活性化を期待するとともに、商工団体、金融機関、弁護士・公認会計士・税理士といった各分野の専門家に向けても、それぞれの分野別にM&A支援として期待される役割や留意点などを提示しています。
M&A業界は、30年ほどの歴史の新興産業で、現在の専門業者数は300社程度とのことです。日税連もホームページでM&Aのマッチングをすすめています。
◆M&A促進税制
令和3年度税制改正の中に、M&A促進税制が二つあります。
1.株式交付M&Aでの譲渡益繰延制度
2.M&A投資リスクに備えるための株式取得価額の70%損金算入制度
株式交付の場合の譲渡益繰延制度創設は、2019年中に経産省が改正要望事項としてあげていたものですが、会社法の株式交付制度創設の施行予定が2021年3月1日となっていたので、1年遅れでの立法となりました。これは、売り手側への優遇税制です。
もう一つの優遇税制は、買い手側に対するものです。
M&A対価の70%損金算入の新制度の要件は次の内容です。
・青色申告中小企業者が対象
・経営力向上計画による取得
・株式の取得価額10億円以下
・投資損失準備金の計上
・6〜10年経過時準備金の取崩し
・中小経営強化法改正が前提
・令和6年3月31日まで適用
Posted by taxman at 08:19│Comments(0)
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