2010年12月21日

通勤手当の税務、扶養控除等(異動)申告書

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより2011年1月号 ★

年末ご多忙の折ではございますが、
お体にお気をつけて良き年をお迎えください。

来年もどうぞ宜しくお願いします。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

◆ 平成23年1月の税務

1月11日
●前年12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

1月31日
●前年11月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●源泉徴収票の交付
●支払調書の提出
●固定資産税の償却資産に関する申告
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●5月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、8月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(9月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●給与支払報告書の提出

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○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第4期分)
○給与所得者の扶養控除等申告書の提出


◆ どこから課税?通勤手当

◆範囲内は非課税対象
 
 毎日の通勤に電車やバスなどの公共機関はもちろん、マイカーや自転車を利用する方は多いでしょう。
 役員や使用人の通勤にかかる費用は、通勤手当や通勤用定期乗車券として通常の給与所得に加算して支給されます。これらは、「合理的な運賃等の額」の範囲内である限り課税されないことになっており、1カ月あたりの非課税となる限度額を超えなければ源泉徴収の対象となりません。この限度額はどのように定められているのでしょうか。


◆通勤に電車やバスなどの交通機関だけを利用している場合
 
 この場合の非課税限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。なお、当該金額が10万円を超える場合は10万円が非課税限度額となっています。また、遠距離通勤者が新幹線を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的方法」ということであれば限度額までは非課税対象です。しかし、グリーン車の特別車両料金は非課税対象に含まれません。


◆マイカーや自転車のみで通勤している場合
 
 マイカーなどで通勤している人のガソリン代や駐車場代の非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて各々定められています。また、片道15キロメートル以上の人が電車やバスを利用して通勤しているとみなした時の定期券1カ月の金額が、それぞれの限度額を超える時はその金額が限度額となります。更に、この場合に他に利用できる交通機関がなければ10万円を限度として通勤距離に応じたJRの地方交通線の通勤定期券1カ月当たりの金額で判定することもできます。


◆電車やバスと合わせてマイカーを使う場合
 
 この場合も非課税となる限度額は電車等の通勤定期券等の金額とマイカー等の片道の距離による非課税額を合計したものとなりますが、10万円を限度として超過金額は給与として課税されます。


◆ 主たる給与と従たる給与 扶養控除等(異動)申告書  

 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、①主たる給与から受けるもの、②他の所得者が受けるもの、③従たる給与から受けるものの欄から構成されています。
 この申告書の提出は、年末調整事務においては必須の手続きで、一般的に、本年であれば、「平成22年分給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」と「平成23年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を主たる給与支払者に提出します。この場合、保険料控除申告書は平成22年分であるのに対して扶養控除等(異動)申告書は平成23年分となっています。
 ここでの注意ですが、平成23年分の扶養控除等(異動)申告書の様式が一部変更されている点です。「B扶養控除欄」が「B控除対象扶養親族(16歳以上)(平8.1.1以前生)」と、また、従たる給与の欄は、新たに「住民税に関する事項」となっています。そして、従たる給与については、別途、その申告書の様式が定められています。


◆従たる給与についての申告書の提出要件
 
 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書は、なんの制限もなく従たる勤務先に提出できるか、と言えばそうではありません。
 この申告書は、当然ですが、2以上の給与の支払者から給与を受ける人で、主たる給与の支払者から支給されるその年中の給与の金額(給与所得控除後の給与等の金額)が次の①と②の金額の合計額に満たないと見込まれる場合に、従たる給与の支払者のもとで配偶者控除や扶養控除を受けるときに提出できるものです。
 ①主たる給与の支払者から支給される給与につき控除される社会保険料等の額
 ②その人の障害者控除額、寡婦(寡夫)控除額、勤労学生控除額、配偶者控除額、扶養控除額及び基礎控除額の合計額


◆扶養親族の異動は自由か
 
 なお、主たる給与の支払者に申告をした控除対象配偶者及び扶養親族を年の中途で従たる給与の支払者に申告替えすることはできます。しかし、従たる給与の支払者に申告した控除対象配偶者及び扶養親族を年の中途で主たる給与の支払者に申告替えすることはできません。
 この少子高齢化の時代に、従たる給与から控除を受ける人はどれだけいるでしょうか、ましてや、来年から年少者の扶養親族が控除対象扶養親族から除外されることを併せ考えると皆無ではないでしょうか。

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川口 明彦 税理士事務所
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