2012年01月30日

ドラッカー、○○経営セミナーへのアンチテーゼ

NHKで、「もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を見ました。

高校野球を扱ったアニメとしては、よくできていると思いました。

ドラッカーの『マネジメント 基本と原則』を開いてみましたが、現時点の私にはあまり得ることのない本でした。


「経営学」とは、ある意味で「生きた経営」を扱えるのでしょうか。「生きた経営」とは、社長のパーソナリティ、会計情報、心理学、哲学(心情)、外部要因、経営戦略等が複合的に絡み合っています。「経営学」とは、果たして体系化できるものなのでしょうか?マネジメントには、基本と原則が、存在しうるのでしょうか?

著書に記されていることをそのまま、経営の実践で行動していいものか、私には疑問です。
ドラッカーを尊敬している税理士先生には好きなタイプの税理士もいらっしゃいますが・・・。

会計学に限界があるように、経営学の限界は、会計学より大きいと思います。

ドラッカーの著書は、その限界を踏まえた上で、距離を置いて読むくらいならいい本なのかもしれませんが。


大学時代やその後に読んだ、

村松司叙『現代経営学総論』、中央経済社

土屋守章『現代企業入門』、日経文庫

奥村昭博『経営戦略』、日経文庫

などの方が印象に残っています。

会計事務所の中には、「○○経営セミナー」などを頻繁に行っている事務所もありますが、私は経営学の限界を感じているので、そのようなセミナーはあまり開催しようとは、思っていません。「生きた経営」というのは、会計事務所の会議室などに、社長を一か所に数十人集めて、講義できるほど単純なものではありません。そういうことをするのは、人を集め易いし、楽だし、顧客獲得のツールになっています。しかし、「生きた経営」とは、そんな単純なものではないと思っています。私の事務所では、30社あれば30社なりの、各々のクライアントに合った、個別の提案をさせて頂いております。そこには、その会社オリジナルの「生きた経営戦略」が存在しているのではないでしょうか。

  • LINEで送る

同じカテゴリー(経営(マネジメント)とは)の記事画像
管理会計は仕事の中心
管理会計は「考える」会計
社長が会計を学ぶということ
『広報 いずのくに』の表紙に掲載されました 
同じカテゴリー(経営(マネジメント)とは)の記事
 小嶺忠敏先生~あきらめないということ (2022-01-16 08:09)
 ブランド力とは (2020-05-19 09:20)
 管理会計は仕事の中心 (2017-01-07 12:51)
 組織論 (2016-09-16 08:32)
 管理会計は「考える」会計 (2015-10-12 09:57)
 トマ・ピケティ 『21世紀の資本』 (2014-12-24 16:26)
この記事へのコメント
ドラッカーは経営者としても経営学者としても優秀だとは思います。が、「本」にした時点でその内容は二次どころか、三次・四次情報にまで陳腐化します。「本」から知恵とノウハウを学び取り、生の現実に適用して活かすには、実際の生々しい経験を何度も積み重ねた上で読み、批判できる資質が必要だと思います。

全く同じ意味で、100万回経営セミナーを受けたとしても、会社の経営力を強化できる事には全くならないし、また100万回経営セミナーや起業支援講座などを開催しても、経営支援者として実力が携わることはあり得ないと、僕も思います。

経営の現場でひとつひとつ、丁寧に地を這うように経営者と一緒に歩んでこそ、経営支援が出来るというもの。「経営セミナー」で儲けよう・集客しようとしている会計事務所や経営支援事務所には、そういった「生々しい現実」にがっぷり四つに組もうという気迫が全く感じられませんね。
Posted by kissy(岸本圭史) at 2012年01月31日 09:25
最近の経営者の方には、安易な○○経営セミナーというのに出て、勉強した気になってしまう方が少なからずいらっしゃいます。

おっしゃる通り、現場でひとつひとつ、丁寧に地を這うように経営者の方と歩んでこそ、コンサルティングのあるべき道です。

地道に、生々しい現実に取り組んで行きましょう。

そこでは、人間の総合力が問われます。
Posted by taxmantaxman at 2012年01月31日 11:51
削除
ドラッカー、○○経営セミナーへのアンチテーゼ