2011年11月04日

家族従業員の労災加入、印紙税

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2011年 11月号Vol.2 ★

日増しに秋も深まってまいりました。時節柄、お風邪など召されませぬようご自愛下さい。 それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


平成23年11月の税務

11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

11月15日
●所得税の予定納税額の減額申請

11月30日
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分) <消費税・地方消費税>
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付

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○個人事業税の納付(第2期分)


家族従業員の労災加入

◆家族従業員は労働者か
 
 家族で商売を行っていて、家族従業員が事業主と同居している場合には、原則として労働基準法の「労働者」ではありませんが、別居している場合は他の従業員と同様の「労働者」として扱うことが出来るとされています。


◆同居の親族が労働者となる場合
 
 事業主と同居の親族であっても次のような条件をすべて満たせば、労働者として扱われます。

①同居の親族の他に一般従業員がいる事。

②就業実態が事業場における他の従業員と同じである。(例えば一般事務や現場作業などに従事している)給料もこれに応じて払われている事。

③労働時間や休日、休暇の管理や給料の決定計算方法が明確に定められており、その管理が他の従業員と同様になされている事。

④業務を行う上で事業主の指揮命令に従っている事。


◆万一、労災が起こった時は
 
 家族従業員は労務管理上の問題は起こらないと思いますが同居の親族は原則労災保険の対象者ではないので業務中に事故が起こった時に労災保険が使えるかどうかという問題が考えられます。そのために家族従業員にも業務災害をカバーする保険をとり入れる必要があるでしょう。
 もちろん過去の申請例では家族従業員全てが労災適用されていないわけではありませんが、適用されなかった事も多く、万一を考え対策をしておきたいものです。


◆家族従業員の業務災害対策
 
 業務災害に対する備えとしては、働き方を決めておく必要があるでしょう。

①従業員として扱うのであれば、前述のような同居の親族の適用要件を満たすような、労務管理や勤務体系にしておく事。

②従業員扱いであり、他にも従業員がいて、働いている場合で労災保険の特別加入制度に加入して、適用を受ける。

③公的な労災保険の適用は受けないのであれば民間の傷害保険に加入する。この場合特別加入制度の上乗せとして、民間保険加入という方法もあるでしょう。
 
 いずれにしても事業主は家族である配偶者や後継者となる同居の親族の労災保険をどう取り扱うかを考えておく必要があるでしょう。


印紙税の課否  

 印紙税は、日常の経済取引に関連して作成された各種の文書うち、課税物件表に掲げるものに対して課税される税金です。
 課税物件表に掲げられているものは、契約書、受取書、有価証券、手形、預金通帳などの文章で、作成された文章がこれら課税物件表に掲げられている課税文書に該当する場合にだけ課税されます。


◆請負契約か委任契約か
 
 平成元年、消費税の導入とともに「委任状又は委任に関する契約書」は、課税物件表から削除され、課税廃止になりました。
 この改正を受け、現在においても、業務に関する事務を他に委任する契約書が、課税廃止となった「委任に関する契約書」なのか、それとも引き続き課税文書とされる「請負に関する契約書」なのか、その判断はかなり難しい面があります。           
 もっとも、「請負」、「委任」というのはどのような契約形態のものを指称するのかという点については、もっぱら、民法等の私法上の概念に準拠して解釈されます。


◆民法における請負契約及び委任契約
 
 請負契約の特徴は、有償が前提で、仕事の結果に対して報酬を支払い、仕事の内容に不備(瑕疵)があれば、当然に請負人は補修義務及び賠償責任を負います。
 一方、委任契約の特徴は、有償の場合も無償の場合もあり、受任者は、委任の本旨に従って、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理しなければなりませんが、仕事の結果に対する責任を負いません。


◆請負と委任の区分の判断基準
 
 以上、民法における「請負」と「委任」の法的効果の特徴点を挙げてみました。この特徴点から「業務に関する事務を他に委任する契約書」が「請負」か「委任」かを区分する場合の一つの判断基準になるとして、次のような考え方が示されています。

・「請負」
 仕事の内容が特定していて、報酬の支払いが仕事の結果と対応関係があるもの。

・「委任」
 仕事の内容が相手方の処理に委ねられていて、仕事の成否の有無にかかわらず報酬が支払われるもの。
 
 例えば、データーの事務処理の委託を内容とする契約書であっても、データーの処理量と報酬の支払いが対応関係にあるものは「請負」に該当することになる、という判断です。

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