2011年12月05日

たばこ税増税、生命保険料控除改正

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2011年12月号Vol.2 ★

早いもので、もう師走。
一年がたつのは、ほんとうにあっという間ですね。
来年も幸多き一年になりますよう、お祈りいたしております。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

平成23年12月の税務

12月12日
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額、納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(6月〜11月分)の納付

12月20日
●7月〜12月分源泉所得税の納期限の特例届出書の提出

1月4日
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

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○給与所得の年末調整
○給与所得者の保険料控除・住宅取得控除申告書の提出
○固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付


たばこ税率引き上げは健康増進と税収に影響?

◆たばこ税について
 
 たばこ税は、国税(たばこ税・たばこ特別税)と地方税(都道府県たばこ税・市町村たばこ税)から成り立っています。国税と地方税の最終的な配分は4対6であり、地方財源を支える税収の1つと言えます。
 近年でみると、平成10年、15年、18年に続き、平成22年10月1日からたばこ税の税率が引き上げられており、たばこの販売価格のうち6割がたばこ税となり、この他に消費税が課税されます。たばこは最も税負担率の高い物品の1つであり、他にはガソリンやビールも高負担率の物品です。


◆諸外国の健康増進についての税金
 
 デンマークでは平成23年10月よりいわゆる「脂肪税」が導入され、その内容は飽和脂肪酸を多く含む食品に課税され、主にバターやチーズなどが該当するようです。
 また、ハンガリーでは平成23年9月より、塩分の高いポテトチップスなどの特定の食品に対して課税するいわゆる「ポテチ税」が導入されています。
 これらは健康増進の名目で導入されたようですが、その課税対象者がたばこよりも広範囲になっており、単なる増税ではないかとの批判もあるようです。


◆たばこ税率の引き上げによる影響
 
 近年たばこ税率の引き上げの理由の1つとして、医療費の抑制につながるのではないかとされることがあり、その意味では健康増進につながると言えるかもしれません。
 一方、たばこ税率を引き上げることによって、たばこの販売数量が減少していることから、最終的なたばこ税の税収の増減には大きな影響を与えていないようです。
 日本のたばこは、イギリスやドイツに比べ安価といわれ、たばこの価格に占める税割合も低いことなどから増税の余地があるとの意見もあります。
 たばこ税は東日本大震災の復興財源の対象にするか否かという検討がなされるほど、国・地方にとって重要な財源の一つとなっており、今後の税制の動向が気になります。


来年から新たな生命保険料控除適用に注意!  

 2010年度税制改正に伴い、2012年1月1日以後に新たに締結した生命保険契約等について、新たな生命保険料控除が適用されます。
 具体的には、まず「介護医療保険料控除」が新設されます。
 2012年1月1日以後に契約締結した生命保険のうち、法令に定める「介護医療保険契約等」の対象となる契約に係る保険料等について、適用限度額を所得税4万円、個人住民税2.8万円とする介護医療保険料控除が設けられます。

 また、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除について、2012年1月1日以後に契約締結した生命保険契約等について、適用限度額が所得税4万円(現行5万円)・個人住民税2.8万円(変更ありません)となります。
 これにより、2012年1月1日以後に契約締結した場合の生命保険料控除・個人年金保険料控除及び介護医療保険料控除を合わせた全体の適用限度額が、所得税の場合12万円(現行10万円)となります(個人住民税は7万円で変更ありません)。

 また、新制度による所得税控除額は、
①2万円以下は、支払保険料等の全額
②2万円超4万円以下は、支払保険料等×1/2+1万円
③4万円超8万円以下は、支払保険料等×1/4+2万円
④8万円超は、一律4万円となります。

 同じく個人住民税控除額は、
①1万2千円以下は、支払保険料等の全額
②1万2千円超3万2千円以下は、支払保険料等×1/2+6千円
③3万2千円超5万6千円以下は、支払保険料等×1/4+1万4千円
④5万6千円超は、一律2万8千円となります。
 
 なお、2011年12月31日以前に契約締結した生命保険契約等に係る控除については、2012年1月1日以降も旧制度が適用されますので、ご注意ください。
 また、仮に2011年12月31日以前に契約締結した生命保険契約であっても、2012年1月1日以後に「更新」や「特約の中途付加」を行った場合には、新制度が適用となってしまいますので、該当されます方は、くれぐれもご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成23年11月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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