2015年08月27日

マイナンバーへの対応スケジュール、上下水道負担金の会計処理

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2015年9月号 ★


暑さも峠をこえたようで、朝夕は大分しのぎやすくなりました。
夏の疲れが出てくる頃です。
ご無理などなさいませぬよう、お願い申し上げます。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


平成27年9月の税務

9/10
●8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

9/30
●7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>




マイナンバー通知間近!会社の対応スケジュール


◆マイナンバー制度への対応
 
 マイナンバーの個人番号は、今年10月より住民票の所在地に送付される通知カードにより通知されます。平成28年1月以降は希望すれば市区町村窓口で顔写真付き個人番号カードを申請することもできます。
 会社は来年以降の社会保険事務や源泉徴収事務のため、10月以降に個人のマイナンバーを収集し、その際通知カード+顔写真付き身分証明書の提出を以て本人確認をする事となっています。但し雇用関係があり本人に相違ない事が明らかな場合や個人番号カード提示時は本人確認書類は不要です。


◆今後、会社が行う事

1.9月までに担当部署、担当者を決定する…マイナンバーの取り扱い部署、担当者、責任者を決める(経理部や人事部等)
 本社以外に支店等がある時は支店で収集窓口となる人も担当者となります。担当者以外は取り扱いしないようにし、また、秘密保持誓約書を取る場合もあります。

2.取扱規定や就業規則を策定します。

3.安全管理措置を策定します。

4.社員説明会を開いたり、従業員にマイナンバー実施と収集の目的を示した番号報告の依頼書を通知したりします。
 扶養親族については年末に扶養控除等申告書に記載してもらう事で事務の簡素化になります。扶養親族の本人確認は従業員自身にあります。会社は国民年金第3号被保険者の手続き以外、扶養親族の本人確認は不要ですが、会社からの委任状で番号を提出してもらう方法もあります。

5.10月以降マイナンバー収集の際は直接なら封筒に通知カードの写しを入れ、通信で行う時はメール(パスワード設定)か簡易書留で行います。マイナンバーを通知されたら授受の記録を残しておきましょう。


◆28年1月以降マイナンバーを記載する書類
 
 雇用保険資格取得届・喪失届、継続給付請求、労災の給付申請、退職者給与の源泉徴収票 年末調整事務等


◆29年1月以降の事務
 
 社会保険の資格取得届・喪失届、育児休業関連、療養費、傷病手当等の給付請求、氏名変更、住所変更等
 税分野では平成28年分の税務申告や給与支払報告書、法定調書、支払調書等
 マイナンバーを記載した書類は法定保存期限が過ぎたら確実な方法で廃棄をすることとなっています。


上下水道の負担金の会計処理


勘定科目や償却期間に注意!


◆水道関係の支出金は会計処理や償却に注意
 
 建物を建築し、給水設備工事や排水設備工事を行う場合には、「建物附属設備(給排水設備)」として資産計上し、15年で償却することになります。
 これらの工事の際には、上水道については、水道事業者に対し「水道利用加入金」を、下水道については、市町村に対し「受益者負担金」を支払うことがあります。
 似たようなものに見える支出ではありますが、これらは、会計処理や償却期間が異なるため、キチンと区別したいところです。


◆上水道は無形固定資産、下水道は繰延資産
 
 上水道の加入金については、「無形固定資産」の「水道施設利用権」あるいは「工業用水施設利用権」として15年で償却します。
 この「水道施設利用権」とは、「水道事業者に対して水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して水の供給を受ける権利」とされています。他人(水道事業者)の所有する水道施設を利用することを目的とする「権利」であり、その金額は、メーターの口径で決められます。
 一方、下水道の「受益者負担金」は「税務上の繰延資産」となります。
 これは、市町村が所有・管理する下水道(=公共施設)について、法人・個人事業者自身が受けるメリットを反映するため費用配分を行うものであるからです(土地の地積に負担金単価を乗じて計算されます)。
 公共施設負担金の償却年数は、その施設の耐用年数の7/10とされていますが、現実に、その設備ごとに償却期間を定めると煩雑になることから、このような受益者負担金については、通達により一律に6年(公共下水道を使用する排水設備を新設・拡張するための負担金は15年)とされています。


◆分割納付の受益者負担金には要注意!
 
 なお、受益者負担金は分割納付を認める市町村が多く見られますが、繰延資産は原則として3年超の場合には、総額が確定していても、その総額を未払計上して償却することを認めていません。
 ただし、長期分割払いについては、①分割払いの期間が繰延資産の償却期間以上で、②分割支払額が概ね均等額であり、③徴収が工事着工後に開始される場合には、その支出日の属する事業年度において損金に算入することができるものとされています。


  • LINEで送る

同じカテゴリー(川口会計事務所だより)の記事
 相続時精算課税  令和6年改正 (2024-04-20 17:56)
 借地権、旅費交通費のインボイス (2024-02-23 09:41)
 中小企業のM&Aと労務DD (2024-02-05 14:52)
 消費税2割特例、会社役員の社会保険 (2024-01-16 09:22)
 タワーマンション事件、独占禁止法・下請法 (2023-12-12 13:44)
 相続税の障害者控除、相続人が外国居住者の場合 (2023-11-10 09:10)
削除
マイナンバーへの対応スケジュール、上下水道負担金の会計処理