2016年07月25日

消費税延期されるもの、されないもの、最少行政区画とは

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2016年8月号 ★

梅雨明けの便りが各地から聞かれ、
いよいよ本格的な夏の到来ですね。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

平成28年8月の税務

8/10
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8/31
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告


○個人事業税の納付(第1期分)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)


消費税延期されるものされないもの


◆消費税10%は再延期、いつから?
 
 消費税の10%への税率アップは、平成27年10月からだったものが、平成29年4月に延期されていて、さらにこの度、平成31年10月に再延期されることになりました。
 ただし、法律の改正を経ないと、延期は実現しません。秋の臨時国会に、今年春に確定した改正消費税法を改正する法案が提出されるものと思われます。


◆再延期の時期はそれぞれ
 
 秋の国会に出される延期法案で確実なのは、消費税率10%への増税なので、複数税率化も同時に延期されることになります。
 複数税率化の延期に伴い、来年4月から施行予定であった、インボイス(適格請求書)制度の導入準備開始制度も一定の修正をせざるを得ないことは明らかですが、必ずしも単純に2年半延期されるわけではないと思われます。
 さらに、平成33年4月から導入のインボイス番号制度は延期されずに、予定通りの施行になる可能性は大きいです。


◆来年4月からの準備開始制度
 
 今年成立の改正税法では、インボイス正式導入までの経過措置として、請求書には、税率の異なるごとの請求額合計とそれら毎の消費税額を各別に記載することになっています。消費税額無記載や内書き表記は正しい表記ではなくなりました。
 単数税率だったとしても、ゼロ税率や非課税もあるので、その部分の微修正を経てインボイスとしての体裁を整える方向で、延期なき施行になると思われます。
 なお、記載不完全な請求書の交付を受けた場合は、正式導入までの準備期間に限り、事実に基づき追記することが認められていますが、免税事業者であることが明らかな者からの仕入では追記は認められないので、もはや課税仕入にはなりません。


◆税額計算の方法は積上げ方式
 
 インボイス正式導入前でも、請求書に記載の消費税額が中心になるので、その積上げ額が、仕入消費税・売上消費税の基本になりますが、税率の異なる毎の取引総額からの割戻し計算も用意されています。
 売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対しては、正式導入までの準備期間に限り、売上税額又は仕入税額の計算の特例が設けられます。①10営業日サンプル割合方式、②仕入割合・売上割合での売上仕入割合推定方式、③50%簡便法などです。



最小行政区画ってなに?


◆会社の定款と最小行政区画
 
 会社の名称や所在地、事業目的などの基本事項を定めた会社の基本規則を「定款」と言います。株式会社も合同会社も、会社を設立するときには必ず作成する書類です。この「定款」で会社の所在地を定める際、「東京都〇〇区××町一丁目2番3号」といった具合に、住所を最後まで記載する必要はなく、「最小行政区画」まで記載すれば良いということになっています。では、「最小行政区画」とは、具体的にどこまでを言うのでしょうか。


◆「最小行政区画」=いわゆる「市区町村」
 
 行政区画とは、行政機関の権限が及ぶ範囲として細分化された地域です。結論から言うと、東京都の場合は「区」まで、その他の場合は「市町村」までが「最小行政区画」となります。
 よって、定款では「東京都千代田区」や「群馬県高崎市」まで定めれば良いということになります。


◆政令指定都市の「区」はどうなる?
 
 では、横浜市や仙台市、広島市などの政令指定都市の場合はどうでしょうか。これら政令指定都市の住所では「市」の後に「区」が続く形になっていますね。こうなるとどこまで記載すれば良いか迷ってしまいますが、この場合は「市」までが最小行政区画になります。
 一般的に「市区町村」という言葉に含まれる「区」は東京都の特別区(23区)を指します。地方自治法では「特別地方公共団体」と定義されており、市町村と同じ機能を持つ行政区画です。
 これに対し、政令指定都市で言う「区」は単なる住所表示であって、行政区画には当たりません。東京都の特別区と違い、こちらは「行政区」と呼ばれます。同じ「区」であっても、東京都と政令指定都市とではその意味合いが異なるのです。
 そのため、東京都23区では区長を選挙で選びますが、政令指定都市における「区」の区長は選挙ではなく、市の職員から選ばれることになるのです。


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Posted by taxman at 16:21
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