2023年07月06日
電子帳簿保存法
★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2023年7月号 ★
梅雨明けを控え、蒸し暑い日が続いておりますが、
体調をくずされてはいませんか。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
2023年7月の税務
7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)
7月18日
●所得税の予定納税額の減額申請
7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定める日)
給与水準を引き上げた中小企業は半数超え
◆給与引き上げ企業3年ぶりに半数を上回る
日本政策金融公庫は「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果を発表しました。13,266社対象に回答は5,473社となっています。
2022年12月の正社員の給与水準を見ると「上昇」と答えた企業割合は53.1%、前年41.1%から12.0ポイント上昇しました。
業種別では、情報通信業(63.8%)、水運業(58.5%)、建設業(55.1%)等が上昇の割合が高くなっています。23年の見通しは「上昇」と回答した企業が53.3%となっています。
正社員給与水準の引き上げの背景は「自社の業績が改善」と回答した企業割合が27.2%と最も高く、次いで「物価の上昇」(19.4%)、「採用が困難」(18.4%)でした。
◆賃金総額でも「増加」が半数超え
22年12月の賃金総額を見ると「増加」と回答した企業割合が59.7%、「ほとんど変わらない」は29.2%、「減少」は11%となっています。「増加」の割合は21年実績(49.3%)から10.4ポイント上昇しました。23年見通しを見ると「増加」と回答した企業割合は60.5%となっています。
賞与の支給月数を見ると「増加」と回答した企業割合は31.3%、「変わらない」は48.5%となっています。「増加」の割合は21年実績(30.5%)から8ポイント上昇しています。業種別に見ると倉庫業(43.8%)、宿泊・飲食サービス業(37.7%)、卸売業(34.9%)などで「増加」の割合が高くなっています。
◆2023年版中小企業白書・小規模企業白書
別の調査を見てみると日本商工会議所の観測調査では、(1)中小企業の賃上げの動きは進みつつあるものの賃上げが難しい企業も一定程度存在する。(2)賃上げを促進する原資を確保する上でも、取引適正化などを通じた価格転嫁力の向上とともに生産性向上に向けた投資を行うことが重要である。
商工リサーチの「中小企業が直面する経営課題アンケート」では、(1)物価高騰により中小企業は収益減少の影響を受けている、(2)値上げだけでなく経費削減や業務効率化による収益力向上に取り組んでいる。
中小企業は賃上げ分を確保するために非常な努力を続けているということでしょう。
電子帳簿保存法の電子取引データ保存の猶予改正
◆改正された電子取引データ保存
令和5年12月31日まで「宥恕(ゆうじょ)措置」が取られていた電子取引データ保存に関するルールが、令和5年の税制改正で変更されています。
令和4年の税制改正で設定された、やむを得ない事情がある場合、税務調査等で出力書面の提示または提出に応じられれば、令和5年末までの2年間は電子取引データの紙保存も許されていたのですが、令和5年改正において宥恕措置は年末で廃止と明言されました。
◆宥恕措置は終わるが猶予措置ができる
宥恕措置は終わりますが、「猶予措置」が新たに設定されました。
1.保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)
2.税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求め及び電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じることができるようにしている場合
上記の条件を満たしている場合は、改ざん防止や検索機能などの保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子データを単に保存しておくことができるとしています。
宥恕措置との違いが分かりにくいようですが、宥恕措置では調査等での「ダウンロードの求め」に応じる必要はありませんでした。新たな猶予措置では紙保存した電子取引データも「ダウンロードの求め」に応じる必要がある、というのが異なる点です。
公官庁内のDX・ICT化が急速に進む中、市井との温度差を感じ取ったのか、なし崩し的な改正に感じられます。法的には緩くなった半面、ペーパーレス化や事務合理化を推進し、宥恕期間終了時からのルールを策定しようとしていた企業は、改正によって振り出しに戻るケースもありそうです。
◆宥恕措置中の出力書面の取扱い
宥恕措置中の電子取引データをプリントアウトした書面は、保存期間が満了するまではそのまま保存しておき、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば問題はないとされています。
梅雨明けを控え、蒸し暑い日が続いておりますが、
体調をくずされてはいませんか。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
2023年7月の税務
7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)
7月18日
●所得税の予定納税額の減額申請
7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定める日)
給与水準を引き上げた中小企業は半数超え
◆給与引き上げ企業3年ぶりに半数を上回る
日本政策金融公庫は「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果を発表しました。13,266社対象に回答は5,473社となっています。
2022年12月の正社員の給与水準を見ると「上昇」と答えた企業割合は53.1%、前年41.1%から12.0ポイント上昇しました。
業種別では、情報通信業(63.8%)、水運業(58.5%)、建設業(55.1%)等が上昇の割合が高くなっています。23年の見通しは「上昇」と回答した企業が53.3%となっています。
正社員給与水準の引き上げの背景は「自社の業績が改善」と回答した企業割合が27.2%と最も高く、次いで「物価の上昇」(19.4%)、「採用が困難」(18.4%)でした。
◆賃金総額でも「増加」が半数超え
22年12月の賃金総額を見ると「増加」と回答した企業割合が59.7%、「ほとんど変わらない」は29.2%、「減少」は11%となっています。「増加」の割合は21年実績(49.3%)から10.4ポイント上昇しました。23年見通しを見ると「増加」と回答した企業割合は60.5%となっています。
賞与の支給月数を見ると「増加」と回答した企業割合は31.3%、「変わらない」は48.5%となっています。「増加」の割合は21年実績(30.5%)から8ポイント上昇しています。業種別に見ると倉庫業(43.8%)、宿泊・飲食サービス業(37.7%)、卸売業(34.9%)などで「増加」の割合が高くなっています。
◆2023年版中小企業白書・小規模企業白書
別の調査を見てみると日本商工会議所の観測調査では、(1)中小企業の賃上げの動きは進みつつあるものの賃上げが難しい企業も一定程度存在する。(2)賃上げを促進する原資を確保する上でも、取引適正化などを通じた価格転嫁力の向上とともに生産性向上に向けた投資を行うことが重要である。
商工リサーチの「中小企業が直面する経営課題アンケート」では、(1)物価高騰により中小企業は収益減少の影響を受けている、(2)値上げだけでなく経費削減や業務効率化による収益力向上に取り組んでいる。
中小企業は賃上げ分を確保するために非常な努力を続けているということでしょう。
電子帳簿保存法の電子取引データ保存の猶予改正
◆改正された電子取引データ保存
令和5年12月31日まで「宥恕(ゆうじょ)措置」が取られていた電子取引データ保存に関するルールが、令和5年の税制改正で変更されています。
令和4年の税制改正で設定された、やむを得ない事情がある場合、税務調査等で出力書面の提示または提出に応じられれば、令和5年末までの2年間は電子取引データの紙保存も許されていたのですが、令和5年改正において宥恕措置は年末で廃止と明言されました。
◆宥恕措置は終わるが猶予措置ができる
宥恕措置は終わりますが、「猶予措置」が新たに設定されました。
1.保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)
2.税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求め及び電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じることができるようにしている場合
上記の条件を満たしている場合は、改ざん防止や検索機能などの保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子データを単に保存しておくことができるとしています。
宥恕措置との違いが分かりにくいようですが、宥恕措置では調査等での「ダウンロードの求め」に応じる必要はありませんでした。新たな猶予措置では紙保存した電子取引データも「ダウンロードの求め」に応じる必要がある、というのが異なる点です。
公官庁内のDX・ICT化が急速に進む中、市井との温度差を感じ取ったのか、なし崩し的な改正に感じられます。法的には緩くなった半面、ペーパーレス化や事務合理化を推進し、宥恕期間終了時からのルールを策定しようとしていた企業は、改正によって振り出しに戻るケースもありそうです。
◆宥恕措置中の出力書面の取扱い
宥恕措置中の電子取引データをプリントアウトした書面は、保存期間が満了するまではそのまま保存しておき、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば問題はないとされています。
Posted by taxman at 09:31│Comments(0)
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