2024年10月22日

M&A対価の損金算入

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年11月号 ★


秋も深まり、冷え込んで参りました。
お風邪など召されませぬようお願い申し上げます。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年11月の税務


11月11日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

11月15日
●所得税の予定納税額の減額申請

12月2日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)


M&A対価の損金算入が7割から10割に


◆M&A損失準備金7割損金算入部分
 
 令和6年度税制改正で、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業(資本金額1億円以下の法人又は従業員数1000人以下の個人企業、但し大規模法人関連法人等は除外)に適用される、M&A10億円以下株式取得価額の70%以下の中小企業事業再編投資損失準備金積立額の損金算入の制度は、3年間の期間延長とされています。


◆併存枠の創設とその対象と要件
 
 これと併存する形で、産業競争力強化法の特別事業再編計画の認定を受けた中小企業・中堅企業(従業者数2000人以下企業)が、M&A株式取得価額(1億円以上100億円以下)の90%以下の中小企業事業再編投資損失準備金積立をすると、その額を損金算入出来るとの制度が創設されました。
 さらに同じ認定を受けた次の別のM&Aにより株式取得(1億円以上100億円以下)をする場合、その取得価額の100%以下の中小企業事業再編投資損失準備金積立をすると、その全額の損金算入が認容されます。


◆取崩しに係る従前枠と併存新枠の相違
 
 なお、従前制度の積立額は5年経過後の事業年度から5年間で均等取崩し益金算入ですが、新制度の積立額は10年経過後の事業年度から5年間での均等取崩し益金算入です。


◆併存新枠適用に必要なM&A過去実績
 
 新創設の併存新枠適用には、過去5年以内にM&Aの実績があることとの条件が改正産業競争力強化法に規定されているので、その要件充足も必要です。それは既存の7割損金算入のM&Aの適用実績に限定されるものではなく、実際のM&Aの経験実績でよく、法律文は「他の事業者の経営の支配又は経営資源の取得を行っていること」となっています。


◆新たな追加要件も改正項目
 
 それから、M&A損害保険契約を締結している場合は、損金算入制度適用除外であり、事後に当該保険契約を締結した場合は、過去計上の中小企業事業再編投資損失準備金を含め、即座に取崩し、全額益金算入しなければならないことになりました。
 過去契約の保険はこの項目の対象外です。


従業員に住所変更があった場合の社会保険と税金の手続き


◆従業員の住所変更時の社会保険の手続き
 
 社会保険に加入している会社で、従業員から転居等により住所変更をした旨の知らせがあった場合は、所定の届出が必要です。「健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届」を年金事務所に届けます。そして、住所変更を届け出る従業員に被扶養配偶者がいる場合、上記届出書と一緒に「国民年金第3号被保険者住所変更届」も提出します。これらの届出書は、持参・郵送・電子申請のいずれかで手続きします。
 なお、社会保険とマイナンバーの紐づけができている従業員については、住所変更の手続きをする必要はありません。
 適正に住所変更をしておかないと、年金に関する重要な通知(「ねんきん定期便」など)が本人に届かなくなったり、必要な本人確認ができなくなったりしますので、遅滞ない届出が必要です。


◆給与計算(所得税計算)のための住所変更
 
 住所の変更そのものが毎月の給与計算に影響を与えることはありませんが、住所の変更に伴い扶養家族が増えたり減ったりすることも少なくありません。扶養家族の人数が変われば毎月の源泉所得税の計算にも影響してきます。住所変更があった場合は、改めて「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告扶養控除等申告書」を提出してもらうか、変更箇所の書き直しを、遅滞なくしてもらってください。


◆住民税の届け出は必要か?
 
 住所変更先がこれまでとは違う他の市区町村となる場合によくある質問が、「住民税の特別徴収の変更手続きは必要か?」という問い合わせです。
 結論から言うと、住民税の特別徴収は当年1月1日に居住していた自治体(=旧住所)に課税権があり続けますので、変更届は不要です。年の途中に他の市区町村に引っ越ししても、住民税の納付先(=会社が給与から特別徴収して会社が納付する)は変わりません。
 新しい住所先での住民税は、会社が各従業員の翌年1月1日に住所地がある自治体に「給与支払報告書」を1月末までに提出し、それをもとに新住所のある自治体で課税が始まります。年末調整確認用の「扶養控除等(異動)申告書」に正しい現住所の記載があれば、翌年から適正に住所地のある自治体から住民税が課税されることになります。

  
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2024年09月21日

交際費から除外される接待飲食費、同族会社が借主の場合の貸宅地の評価

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年10月号 ★


いまだ暑さが残ります今日この頃、
いかがお過ごしでしょうか。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年10月の税務

10月10日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

10月15日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知

10月31日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)(10月中において市町村の条例で定める日)


交際費から除外される接待飲食費の金額基準


◆令和6年度の交際費に係る改正
 
 令和6年度税制改正により、交際費等の範囲から除外される接待飲食費の金額基準が1人当たり1万円以下(改正前5000円以下)に引き上げられました。物価高や経済活動の活性化の観点からの改正とのことから、従来のように事業年度単位での適用関係ではなく、税制改正法施行日の令和6年4月1日から即適用とされています。例えば、12月決算法人であっても、次期の期首日以降の適用ではなく、今期の期中中途である令和6年4月1日以後に支出する接待飲食費から、1万円基準で判定して適用することになっています。


◆交際費課税は決済日での判定ではない
 
 クレジットカード等での支払いの場合で、令和6年4月1日以後の支払いであったとしても、接待飲食等の行為があった時が同年3月以前である時は、1万円基準での判定とすることにはならず、従前の5000円基準で判定して、交際費の額を算定することになります。つまり、接待飲食等の実行日ベースで適用することになります。


◆法人規模別の交際費課税の内容
 
 因みに、交際費についての措置法の規定は、資本金百億円超の法人では全額損金不算入、資本金1億円超の法人では交際費のうちの接待飲食費の50%が損金算入、資本金1億円以下の法人では交際費のうちの接待飲食費の50%か、年800万円の定額控除限度額かが損金算入、とされています。


◆交際費での接待飲食費
 
 接待飲食費とは、得意先等を接待して行う飲食その他これに類する行為のために要する費用で、飲食代のほか、業務遂行や行事の際に差し入れる弁当代、飲食等のために飲食店等に直接支払うテーブルチャージ料やサービス料なども含まれます。
 交際費除外計算新基準の1万円は、1人当たりの接待飲食費の金額が1万円以下の場合での適用であり、1万円を超える場合は、1万円までが交際費除外対象となるのではなく、その全額が交際費等に該当するものとされます。


◆交際費除外計算のための適用要件
 
 接待飲食費の交際費除外の適用要件として次の事項を記載した書類の保存が要求されています。

一 飲食年月日
二 飲食参加者名と関係
三 飲食参加者数
四 飲食額、店名、所在地
五 飲食事実の明示事項


同族会社が借主の場合の貸宅地の評価
 
 
 借地権が設定された被相続人の土地は、相続税では「貸宅地」とされ、自用地価額から借地権価額を控除した金額で評価します。


◆通常の地代の場合は、財産評価通達で評価
 
 土地の使用の対価として通常、権利金を収受する慣行のある地域で通常の賃貸借契約により通常の地代を支払うとき、貸宅地は財産評価通達により評価されます。
 なお、通常の地代未満の地代を支払う場合も以下の算式で評価します。
 
 ●貸宅地の価額=自用地価額×(1-借地権割合)


◆同族会社に貸付けする場合の評価
 
 被相続人が同族関係者となっている同族会社にアパート経営をさせるため、自分の土地に借地権を設定する場合、借地契約を第三者との取引と異なる条件で行うと権利金等と実際の地代の水準に応じて借地権と貸宅地の評価は影響を受けます。
 以下は、権利金等の支払がない場合です。

(1) 相当の地代を支払っている場合
 
 権利金の認定課税を回避するため、権利金の支払に代えて相当の地代を支払う場合、借地権評価額は零、貸宅地の評価額は自用地価額の80%となります。

(2) 通常の地代を超え、相当の地代未満
 
 貸宅地の価額は、実際に支払う地代の水準に応じて決まります。
 ●貸宅地の価額=自用地価額-自用地価額×借地権割合×{1-(実際の地代-通常の地代)/(相当の地代-通常の地代)}
 ただし、貸宅地の価額が自用地価額の80%を超える場合は、被相続人が借地契約により土地利用の制約を受けていたことを考慮して80%を上限とします。
 
 なお、(1)(2)とも、20%分は同族会社の借地権として同族会社の株式評価上、純資産価額に算入されます。


◆小規模宅地等の特例による評価減
 
 さらに一定の要件を満たすと「貸宅地」は「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例が適用されます(200㎡まで50%減)。同族会社との賃貸借契約の締結、地代の支払(有償貸付)が前提となります。ただし、固定資産税程度の地代設定では営利性が認められず、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることはできません。適用には相続開始前3年を超えて被相続人等の貸付事業の用に供されていること(特定貸付事業は3年以内も可)、事業承継要件、保有継続要件を満たすことが必要です。

  
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2024年08月22日

宅地と隣接する駐車場の評価単位

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年9月号 ★


暦では夏の終わりと申しながら、まだまだ暑い日がつづきますね。
夏の疲れが出てくる頃です。
体調管理には充分気をつけてお過ごしください。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年9月の税務

9月10日
●8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

9月30日
●7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>


宅地と隣接する駐車場の評価単位
 
 相続で土地を評価する場合、土地をどこで区切るかを決めなければなりません。
 評価のために区切られる土地の1つ1つを評価単位と言います。評価単位を決める基本ルールは、次のものとなります。


◆土地は地目ごとに区分される
 
 土地は用途によって、「宅地」「田」「畑」「山林」「雑種地」などの地目に区分されます。「宅地」は、建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地とされます。「雑種地」は、どの地目にも属さない土地とされ、駐車場の敷地は「雑種地」となります。
 土地は地目別に評価するのが原則ですが、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合、そのうち主たる地目からなるものとして評価します。


◆宅地や雑種地は利用の単位ごとに評価する
 
 宅地は利用の単位となる1区画の宅地(1画地の宅地といいます)ごとに評価します。
 同じ土地に居宅と隣接する自家用の駐車スペースがある場合、駐車スペースは自宅の維持・効用を果たすために必要なものとして、敷地全体を「宅地」として自用地評価します。
 マンションとマンションの住人だけが利用する隣接の駐車場の場合も同様に、敷地全体を「宅地」として自用地評価します。
 商業施設に併設する駐車場の敷地は、商業施設と一体利用されるので「宅地」として自用地評価します。


◆土地の評価に他人の権利が及ぶ場合
 
 土地を他人に使用させる場合は、土地の評価には他人の権利が及びます。
 賃貸アパートや賃貸マンションの敷地は、住人の権利が及ぶため、貸家建付地として評価します。
 賃貸アパートや賃貸マンションに隣接する駐車場は、アパートやマンションの住人だけが使用する場合、建物と駐車場の土地は一体利用されているので一画地の宅地となり、全体を貸家建付地として評価します。


◆月極駐車場を経営する場合は自用地評価
 
 土地所有者が自身で月極駐車場を運営する場合は、車の保管を目的とする行為とされ、賃貸借契約とは本質的に異なる契約関係となります。この場合、土地評価に利用者の権利は及ばず、自用地評価となります。
 なお、コインパーキングなど駐車場事業者に土地を賃貸する場合は、その事業者の権利が土地に及びますので減価されます。


従業員の育休取得時の対応


◆問題の背景
 
 育児・介護休業法については、令和4年の4月と10月に改正が行われたのに続き、今後も性別を問わず、育児休業を取得しやすくするための改正が予定されています。
 一方で、多くの企業で人材不足の悩みは深刻で、従業員が育児休業を取得した場合の業務の代替をどうするかなど問題が残されています。とは言え、育児休業の取得は労働者の権利であり、企業は原則として拒むことはできません。従業員が育児休業を取得している間の業務の代替に関しては、早急に検討する必要があると考えられます。


◆体制整備について
 
 従業員が育児休業を取得する際の体制整備については、大きく2つのポイントが考えられます。(1)取得のパターンごとに留意すべき点があること。(2)どのパターンで取得しても困らない体制づくりを目指すこと。令和4年4月及び10月の改正によって、育児休業を取得するパターンが多様化しています。それぞれのパターンでの取得に応じた体制整備が必要になります。いくつか例を挙げてみます。

(ア) 連続した日数を長期間取得する場合
 
 子供が出生後1歳に達するまで育児休業を取得するケースなどがあたります。休業が長期間となる場合には、1年間の業務を見据えた対応が必要になり、早い段階での業務の引き継ぎや、業務を代替する要員が長時間労働になり不満やストレスが溜まらないよう、可能な限り複数人数で分担することなどが望ましい対応と考えられます。

(イ) 短期間や分割で取得する場合
 
 令和4年4月及び10月の改正では、「出生時育児休業制度の創設」など、男性が育児休業を取得しやすくするための改正が、数多く行われました。このことにより、男性が2週間程度の育児休業を取得したり、休業を数回に分けて取得したりするケースが増えています。このケースでの注意点は、出生時育児休業を取得しようとする従業員は、原則として2週間前までに職場に申し出ればよいことになっているため、業務の引き継ぎが必要な場合には、引き継ぎを短期間で行わなければなりません。このような事態を避けるため、事前に制度についての個別周知を行い、早めに本人の意向を確認する必要があります。

  
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2024年07月23日

マイホーム売却の特例、サイバーセキュリティ

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年8月号 ★


猛暑の毎日でございますが、いかがお過ごしでしょうか。
熱中症にはくれぐれもお気をつけください。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年8月の税務


8月13日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

9月2日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税> 
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の消費税・地方消費税の中間申告

○個人事業税の納付(第1期分)(8月中において都道府県の条例で定める日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)(8月中において市町村の条例で定める日)



マイホーム売却時の特例



◆マイホームには税の特例がもりだくさん
 
 住宅ローンを借り入れて、住宅の新築・取得を行った場合受けられる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、皆さんご存じかと思いますが、マイホームに関連する税制は売却した際にも様々な状況に応じて特例が設けられています。今回は横断的にどんな特例があるのかを見てみましょう。


◆マイホームを譲渡して売却益が出た時

(1)居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例:マイホーム(居住用財産)を売った時、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる。

(2)マイホームを売った時の軽減税率の特例:所有期間が10年を超えている場合、長期譲渡所得税率は通常15%(+住民税5%)であるのに対して、6,000万円までの部分については10%(+住民税4%)で計算することができる。

(3)特定の居住用財産の買換えの特例:特定のマイホームを売って、代わりのマイホームに買い換えた時、一定要件のもとに、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる。
 
 (1)と(2)は併用が可能ですが、(3)も含め、売却益が出て特例を利用した場合、住宅ローン控除との併用はできません。


◆マイホームを譲渡して売却損が出た時

(4)マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:マイホーム(旧居宅)を売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合、旧居宅の譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たしていれば、譲渡損失をその年の給与所得等、他の所得と損益通算することができる。また、損益通算しても控除しきれない分は、譲渡の年の翌年以後3年内は繰越控除が受けられる。

(5)特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高より低い価額で売却して譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たせば他の所得と損益通算できる。また、譲渡の年の翌年以後3年内は繰越控除が受けられる。
 
 (4)は買い換えの場合に限られますが、(5)は新たにマイホームを買わなくても受けられる特例です。また、売却損が出た時に利用する特例は、住宅ローン控除併用可です。


サイバー保険とサイバーセキュリティ対策


◆税務署・国税庁を騙るメール
 
 e-Taxの普及に伴い、国税庁や税務署を騙る偽メールも増えています。e-Taxを装ったメールでリンク先もe-Taxの画面を模している場合もあり、うっかりアクセスしてパスワード等を入力してしまうと、犯罪に利用される恐れもあります。

(1)国税庁からのメール本文には、支払い催促や延滞税の金額等は記載されない

(2)メール本文のリンクは一見正常に見えるが、リンク先が偽装されている可能性も視野に入れ、e-Taxへのアクセスはメールから行わない
など、見分ける方法や対策を知っておきましょう。また、一部の保険会社は被害に遭った時に心強いサイバーリスクに特化した保険を出しています。どんな内容なのか見てみましょう。


◆サイバー保険の補償内容
 
 サイバー保険の補償対象事故は主に「情報漏洩」「ネットワーク所有・使用・管理に起因する業務阻害」「サイバー攻撃に起因する身体障害・財物損壊」です。契約プランによって取扱いは異なりますが、被保険者の損害賠償金・訴訟費用の補填、サイバー事故に起因して一定期間内に生じた事故原因調査・コールセンター設置・記者会見・見舞金の支払・法律相談・再発防止策の策定といった各種費用の補填、ネットワークを構成するIT機器等の停止による利益損害や営業継続費用の補填など、多岐にわたる補償プランがあるようです。
 また、平時における事故防止対策等のサポートを受けられるものや、ルールの策定・従業員に対する研修や教育支援・リスク診断・セキュリティソフトの導入支援等を行ってくれるものもあります。


◆サイバーセキュリティ対策してますか?
 
 サイバーセキュリティ対策は保険だけではありません。独立行政法人情報処理推進機構では、中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインを公開していますから、まずはそちらで理解を深めるのも良いでしょう。また、対策に取り組むことを自己宣言する「SECURITY ACTION」は、各種補助金申請の要件となっている場合があります。
 中小企業のサイバーセキュリティ対策に不可欠な各種サービスをワンパッケージで提供するサービス「サイバーセキュリティお助け隊」は、2024年のIT導入補助金でも活用が可能なので、この機会に一度検討してみてはいかがでしょうか。

  
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2024年06月24日

住宅ローン控除の要件

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年7月号 ★


本格的な夏の前に、木々の緑が色濃くなってまいりました。
蒸し暑い日が続いておりますが、お身体ご自愛下さい。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年7月の税務

7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)

7月16日
●所得税の予定納税額の減額申請

7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定める日)



住宅ローン控除の要件



◆住宅ローン控除って何?
 
 個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得または増改築等をし、自己の居住の用に供したときは、一定要件下で、住宅ローンの年末残高を基準として、所得税を控除することができます。正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。
 新築の場合の住宅ローン控除が受けられる要件を確認してみましょう。


◆住宅ローン控除の要件(新築の場合)

・住宅取得後6か月以内に居住していること
・控除を受ける年分の年末まで引き続き居住の用に供していること
・床面積50(特例は40)平方メートル以上かつ居住用に2分の1以上を供していること
・住宅ローン控除を受ける年の合計所得が2,000(特例は1,000)万円以下であること
・10年以上のローンであり、民間の金融機関や住宅金融支援機構などの住宅ローンであること
・2つ以上住宅がある場合は、主として居住の用に供する住宅であること
・居住用財産の譲渡特例等、一定の譲渡所得の特例を居住年および前2年の3年間受けていないこと
・居住年の翌年以後3年以内に、居住した住宅以外の一定の財産を譲渡し、一定の譲渡所得の特例を受けていないこと
・住宅の取得(土地等の取得を含む)は、生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと
・贈与による住宅の取得でないこと


◆「住んでいるか」が重要
 
 要件の通り、住宅ローン控除は住んでいなければ受けられません。ただし転勤で居住を移す場合は、単身赴任等で家族が引き続き居住していれば住宅ローン控除は継続して受けられます。
 「住宅ローン控除も受けられないし、賃貸にして利益を」と考える方もいるかもしれませんが、賃貸にした場合は金融機関の住宅ローンは特別金利等の優遇がなされている関係で規約違反となり、一括返済を求められることが一般的です。
 また、悪質な不動産投資会社等が、顧客に対して「居住用と言えばローンが通る」等の話をもちかけていたケースも報道されています。「知らなかった」では済まされませんので、ご注意ください。


令和6年5月送付分から納付書の送付対象見直し


◆税務署が納付書を送ってこない
 
 国税庁は、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいます。具体的な目標も掲げており、令和7年までに国税のキャッシュレス納付の割合を40%とするよう、キャッシュレス納付の利用推奨や利便性の向上のため、様々な施策を行っています。
 その中で行政コスト抑制の観点を加えた理由に基づき、令和6年5月以降に送付する分から、e-Taxにより申告書を提出している法人の方などに、納付書の事前送付を取りやめるとしています。


◆事前送付が行われない方

〇e-Taxにより申告書の提出をしている法人の方
〇e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人の方(資本金が1億円超や通算法人等の特定の法人)
〇e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
〇「納付書」を使用しない以下の手段により納付されている法人・個人の方

・ダイレクト納付・振替納税・インターネットバンキング等による納付・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付(2次元コード)
 以上の方には、納付書の事前送付が行われません。また、源泉所得税の徴収高計算書や、消費税の中間申告書兼納付書については引き続き送付する予定と前書きしておきつつも、「電子申告及びキャッシュレス納付を是非ご利用ください」と利用を推奨しています。


◆申告は電子で納付は紙の場合
 
 申告はe-Taxで行うものの、納付書を利用して納税しているという法人の方がいらっしゃると思いますが、この5月から「納付書が送られてこない!」と慌てないように気をつけましょう。
 事前送付は行わないものの、納付書自体は所轄税務署に連絡すれば郵送してもらえますし、直接所轄税務署や金融機関(在庫があれば)に出向けば入手できます。
 ただ、事前送付があった頃と比較してみると、手間もかかることですし、そろそろキャッシュレス納付を考えてもよい頃合いかもしれませんね。

  
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2024年05月27日

経営者保証ガイドライン

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年6月号 ★


日中はもう汗ばむ陽気となりました。
暑い季節に向かいますゆえ、なにとぞご自愛ください。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年6月の税務


6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付

6月17日
●所得税の予定納税額の通知

7月1日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●国外財産調書・財産債務調書の提出

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定める日)


リスキリングとリカレント教育


◆DX時代に必要なリスキリング
 
 一般的にリスキリングやリカレント教育はともに「学び直し」と定義されることが多い言葉ですが背景や目的は違っています。
 経済産業省はリスキリングを「新しい職業に就くため、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています。必ずしも「リスキリング=DX教育」ではありませんが、「企業が戦力的に新しいビジネスに対応するために不可欠なスキル・知識の獲得を促す」という企業視点です。実践に重きを置き、DX化のための新たなスキルの習得をすることを言います。リスキリングは社会の要請により学びを提供する視点が強い言葉ですが、学ぶ本人の主体性なしに成功はありません。


◆リカレント教育とは
 
 リスキリングと並行して語られることが多いのが「リカレント教育」です。「循環する、繰り返す」という意味を持ち、業務と並行しながら学ぶリスキリングと違い、学校教育から離れた後も必要なタイミングで仕事と教育を繰り返し、個人の学びに主体が置かれている点が違います。
 リカレント教育は人生100年時代におけるQOL向上でしょう。働く期間が延びればスキルや知識のアップデートも必要になるということです。学ぶことで専門性や希少性が高まります。日本では今まで年功序列制や終身雇用が一般的でOJTなどの育成をしてきましたが、これからのジョブ型雇用に変化する時代にはリカレント教育の関心が高くなるでしょう。


◆企業のリスキリングが注目されている理由
 
 2020年のダボス会議で「リスキリング革命」が主要な議題となり、それは「第4次産業革命の技術変化に対応するため2030年までに全世界で10億人により良い教育、スキル、仕事を提供する」というものです。2022年に日本では首相がリスキリングのための支援制度を政策の中に盛り込むことを表明し、人への投資が重要であるとの考えを示しました。企業がリスキリングを推進するメリットは、1.ワークエンゲージメント(仕事に対してのポジティブで充実した心理状態)の向上、2.自立型人材の育成、3.社内業務に精通した人材に取り組んでもらえる、などのメリットがあります。


経営者保証ガイドライン〜早期廃業と再チャレンジ〜


◆「会社の破産」=「経営者の破産」?
 
 会社の経営が厳しく、廃業を考えているとしましょう。経営者の個人保証がある場合、会社が破産すると、経営者も破産するしかないのでしょうか。いいえ、違います。
 法人が破産しても、「経営者保証に関するガイドライン」を活用し、保証債務を整理することで、個人破産を回避し、再出発できる可能性があります。ガイドラインに基づき保証債務を整理した場合、経営者に一定の資産を残すことを認めています。


◆経営者保証に関するガイドライン適用要件
 
 ガイドラインに基づく保証債務整理を申し出る場合は、以下のような要件を充足している必要があります。

●法人(主債務者)が法的整理(破産、民事再生等)や私的整理及びこれに準じる手続(準則型私的整理手続)を開始申立て済みである。
●対象債権者に経済合理性が期待できる。
●法人及び保証人が弁済について誠実であり、対象債権者の請求に応じ、財産状況等について適時適切に開示している。


◆早期決断のメリット
 
 廃業等を早期決断することによって、事業が毀損する前に債務整理をすることで、売掛債権回収の極大化が図られるほか、早期売却価格ではなく市場価格で不動産等を売却できます。また、金融機関に経済合理性が生まれ、インセンティブ資産を手元に残せる可能性があります。


◆インセンティブ資産とは
 
 現時点で清算することにより、将来に清算した場合よりも、回収見込み額が増加する額がインセンティブ資産の上限となります。

(1)一定期間の生計費に相当する額の資産
(2)華美でない自宅
(3)その他の資産(個別事情を考慮して判断)


◆どこに相談すればいいの?
 
 まずは、取引金融機関や中小企業活性化協議会、REVIC(地域経済活性化支援機構)、支援専門家(弁護士、税理士等)等へご相談ください。早めの相談がガイドラインに基づく保証債務整理や、廃業だけでなく、事業再生や事業承継など、取り得る選択肢を広げることが期待されます。  
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2024年05月04日

インターハイ2024 東部大会準決勝vs飛龍高

2024年5月4日、インターハイ東部大会準決勝 沼津東vs飛龍高を観戦に、愛鷹多目的競技場に行きました。

沼津東1-1飛龍高  PK5-4

同点に追いつき、PK合戦となりました。


この時期のサッカー観戦は、気持ちがいいです。









  
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Posted by taxman at 19:14Comments(0)サッカー

2024年04月20日

相続時精算課税  令和6年改正

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年5月号 ★

若葉が目にまぶしい季節になりました。
季節の変わり目でございますので、お身体を大切になさってください。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年5月の税務


5月10日
●4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

5月15日
●特別農業所得者の承認申請

5月31日
●個人の道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額の通知
●3月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●9月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(1月決算法人は2ヶ月分、個人事業者は3ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付

○自動車税(種別割)の納付(5月中において都道府県の条例で定める日)
○鉱区税の納付(5月中において都道府県の条例で定める日)


相続時精算課税贈与者が贈与した年に死亡した場合



◆相続時精算課税制度とは
 
 相続時精算課税制度は、受贈者の選択により、60歳以上の父母、祖父母などの直系尊属から18歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫が贈与を受けたとき、課税価格から2500万円の特別控除後の残額に20%の税率を乗じた額を課税し、贈与者が死亡したときは、相続税額を計算する過程で先に課税された贈与税相当額を相続税額から控除して精算するものです。
 相続税の申告書において相続時精算課税贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算します。相続税には基礎控除(3000万円と法定相続人1人当たり600万円)があるので、贈与税額が相続税額を超えるときは、先に申告納付した贈与税の還付を受けることができます。また相続時精算課税制度は贈与者ごとに、父母の双方からそれぞれ贈与を受けることもできます。


◆贈与者が死亡した年の贈与は相続税で申告
 
 相続時精算課税の適用を初めて受ける者は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書と一緒に提出します。
 相続時精算課税の適用を初めて受ける年に贈与者が死亡したときは、相続時精算課税選択届出書を贈与を受けた年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)又は相続開始の日の翌日から10か月を経過する日(相続税の申告期限)のいずれか早い日までに相続税の納税地の税務署長に提出します。
 このとき贈与税の申告書の提出は要さず、相続税の申告書を提出します。


◆令和6年施行の改正内容
 
 令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後の相続時精算課税贈与には、110万円の基礎控除が創設されました。110万円以下の贈与の場合は、贈与税の申告は不要となりますが、相続時精算課税選択届出書の提出は必要です。
 また相続時精算課税贈与を受けた土地・建物が相続税の申告期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害により一定の被害を受けた場合は、相続税の課税価格に加算する額の計算の際、被災価額(保険金等で補てんされた金額を差引き後)を贈与時の価額から控除できます。


◆届出書の提出もれは暦年課税で思わぬ負担
 
 相続時精算課税の適用を受けようとするとき、相続時精算課税選択届出書の提出をうっかり忘れると暦年課税が適用され、思わぬ税負担が生じますので注意しましょう。


  
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2024年04月06日

申告書の収受印

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2024年4月号 ★

春の暖かい日差しが気持ちのいい季節になりました。
いかがお過ごしでしょうか。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


2024年4月の税務

4月10日
●3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

4月15日
●給与支払報告に係る給与所得者異動届出

4月30日
●公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告
●2月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●8月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(12月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○軽自動車税(種別割)の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日又は最初の固定資産税の納期限のいずれか遅い日以後の日までの期間)
○固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出(市町村が固定資産の価格を登録したことを公示した日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの期間等)




令和7年1月から控えは印なしに


◆申告書等の控えに収受日付印を押さない
 
 国税庁は令和6年1月4日に、令和7年1月以降は申告書等の控えに収受日付印の押捺を行わないこととする、と発表しました。対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類の他、国税庁・国税局・税務署に提出される全ての文書とのことです。
 令和7年1月からの書面申告等における申告書等の送付時には、申告書等の正本(提出用)のみを提出してください、とWeb上でお願いしています。また、必要に応じて自身で控えを作成、提出年月日の記録・管理をするようにも呼びかけています。


◆申告書等の提出事実を証明する方法
 
 例えば個人が融資を受ける、奨学金の申請を行う、保育園の手続きする、等の際に確定申告書の控えを要求されることがあります。ただ、この控えについては「収受印があること」が控えたりうる要件であり、収受印がない控えについては、個人の収入等が証明できないため、各種手続きに利用できない可能性が大です。
 オンラインサービスを利用せず、紙媒体で効力のある収入証明を手に入れる場合には、税務署に対して「保有個人情報の開示請求」を行うか、「納税証明書の交付請求」を行う必要があります。
 個人情報の開示請求は手数料300円、納税証明書は税目ごと1年度1枚につき400円です。


◆オンラインなら無料
 
 e-Taxを利用した申告であれば、申告等データの送信が完了した後に、税務署からの受信通知がメッセージボックスに格納されます。ここから申告書等のPDFファイルを無料でダウンロードすることができ、こちらには受付日時等が記載されますから、旧来の控えの役割を果たすものが欲しい人はe-Taxを活用しなさいね、という風に聞こえます。
 国税庁は税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進めているとしていて、その一環の措置とのことなのですが、便利な機能が増えて利便性が向上する方が多い一方、インターネット等のサービスを上手く使えない方にとっては不便になることは確かです。また、不便ならまだしも「手続き等ができない人」が出てきてしまわないか、少し心配になります。  
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Posted by taxman at 15:12Comments(0)

2024年03月25日

3月25日に思う

毎年、3月25日に思うことがあります。

「3月25日は、中央大学の卒業式だな。」

大学卒業後数年は、全力で駆け抜けたので、思わなかったのですが、
自分の税理士事務所を持つようになってからは、3月25日には思うようになりました。

毎年3月25日は、中央大学のキャンパスから卒業式がYoutubeでライブ配信されています。

全国にいらっしゃる卒業生の家族が見るのでしょう。


僕の卒業式も今日のように、小雨まじりで少し肌寒く、Junのコートを着て卒業式に出かけました。
入学式で聴いたシベリウスの『フィンランディア』を卒業式でも聴けて良かったです。
芸術が、文化が、今まで歩いてきた道が私を支えてくれました。

中央大学のユニバーシティ・メッセージは、「行動する知性」とのことです。


今日も仕事の休憩時間に少しだけ、スマホで卒業式のライブ配信を見ました。

大学の卒業式は、大事にしたしね。

3月25日は、特別な日かな。

大学時代より、卒業後の方が勉強しているでしょう。

どれだけの山を越えてきただろう。いくつの『河を渡った』だろう。

Spilitは、『世代』を超えて行く。

Soul to Soul .

今日のように、原点を確認してみるのも悪くはない。

清志郎、教授、素晴らしい楽曲を残してくれてありがとう。

  
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Posted by taxman at 15:01Comments(0)税理士日記