2020年11月27日

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定

★ 川口明彦税理士事務所  事務所だより 2020年12月号 ★

街路樹の落葉が歩道や車道に舞い散る季節になりました。
秋から冬へ、季節の流れは早いものですね。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

2020年12月の税務

12/10
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額 (6月〜11月分) の納付

翌年1/4
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・ (法人事業所税) ・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2か月分)<消費税・地方消費税>

○給与所得者の保険料控除申告書・配偶者控除等申告書・住宅借入金等特別控除申告書の提出(本年最後の給与の支払を受ける日の前日)
○給与所得の年末調整(本年最後の給与の支払をするとき)
○固定資産税 (都市計画税) の第3期分の納付(12月中において市町村の条例で定める日)


「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定


◆副業・兼業ガイドラインの改定
 
 厚生労働省は、令和2年9月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、「副業ガイドライン」)を改定しました。
 我が国の労働および社会保険諸法令では、特に正社員が複数企業で雇用されることは前提とされていませんでした。
 一方、労働力人口の減少や副業・兼業のニーズが高まったことで、複数企業での雇用に配慮した制度が求められていました。
 厚生労働省は、平成30年1月に「モデル就業規則」を改定し、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と副業・兼業を認める内容に変更していましたが、当時策定された「副業ガイドライン」で不明確だった論点が、今回整理されたことになります。


◆副業・兼業における問題点
 
 副業・兼業による複数企業での雇用によって、以下のような問題が生じます。

・複数事業所間での労働時間管理

・時間外労働に対する割増賃金の負担

・労働保険・社会保険の適用
 
 使用者は、労働者の申告により、副業・兼業先の事業内容や従事する業務、労働時間の通算対象を確認した上で、新たに策定された「管理モデル」を基に、労働時間の管理や割増賃金を負担することになります。
 労災保険は複数適用で、雇用保険は複数適用が原則認められませんが、令和4年1月以降、65歳以上で合算して条件を満たす場合は適用が認められるようになります。
 社会保険は事業所毎に判断するため、複数の事業所で適用される場合はいずれかの事業所の保険者を選択して、適用されます。


◆副業・兼業で労使に生じる義務
 
 「副業ガイドライン」の改定で、使用者は安全配慮義務、労働者は秘密保持義務、競業避止義務、誠実義務を負うことが明確にされました。
 労働者には、秘密保持や競業避止など従来と同様の義務が課されますので、使用者はこれらの義務が履行されない懸念がある場合には、副業・兼業を禁止または制限しても構いません。


台風で休んでも給与は発生する?災害時の労務管理


◆突然の災害! その時社員は…
 
 日本は、災害列島と表現されることもあるほど、自然災害の多い国です。
  日本各地で発生する地震や台風、豪雨、津波、噴火などの厳しい自然災害は、私たちに突如として襲いかかり、日常生活を大きく変えてしまいます。
 災害に備え、いざという時に慌てないためにも、日頃から避難経路の確認や防災用品の備蓄を心掛けたいですね。
 ところで、もし職場にいる時や出勤前に災害が起こったら、労務管理上はどのような対応になるのでしょう。
 交通網が麻痺していない限りは出勤するべきなのでしょうか。また、危険を回避するために自己判断で休んだ場合、給与の取扱いはどのようになるでしょう。


◆労働者都合か、使用者都合か
 
 まず、労働基準法第26条に、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中該当労働者に、その平均賃金の100 分の60 以上の手当を支払わなければならない」とあります。
 しかし、天災は「使用者の責に帰すべき事由」には当たりません。例えば、台風により公共交通機関が停止して、職場に通勤不可能であった場合も、通勤は可能であったが労働者側が危険回避等のため自己判断で休んだ場合も、使用者都合とは言えず、ノーワーク・ノーペイの原則に則り、従業員が勤務しなかった部分については、給与を支払う必要はありません。
 ただし、労働者判断ではなく、労働者への配慮として会社側の判断で自宅待機、早退等とした場合は、前述の「使用者の責めに帰すべき事由」となるので、休業手当を支払う必要があります。


◆特別休暇の整備など柔軟な対応を
 
 天災は誰の責任でもありません。法律上は休業補償が必要ではない状況ではあっても、会社側は、可能であれば有給休暇や特別休暇として積極的に休暇取得を促した上で通常勤務分の賃金を支払う等、なるべく社員の気持ちに寄り添った対応をしたいものです。
 地震や大雨による事業所の被災でやむなく休業し、その際に休業に関する手当を支払った場合は、雇用調整助成金の対象となる場合がありますので併せて確認してみましょう。



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