2009年07月19日

経済回復の展望と企業経営  伊藤元重氏講演

7月16日に、静岡センチュリーホテルにて、東京大学大学院と経済学部長である伊藤元重氏の講演に、事務所の研修として行ってきました。テーマは、「経済回復の展望と企業経営」、伊藤氏は静岡市出身、氏の著書は大学卒業後に購入して読むこともありました。

私は大学で、会計学を主に学びましたが、周辺領域の経済学と経営学も学びました。ある日、経済学の講義で、経済学の大家が「経営学はハッタリだ」と言っていました。講義後、その先生にその点について質問したところ、「経済学は、原理・定則があり、世界共通の認識があるが、経営学は、経営学者がその場その場で自らの持論を主張しているにすぎない」というような主旨のことを言ってくれた記憶があります。確かに、ノーベル経済学賞はあっても、ノーベル経営学賞は存在しません。
年収ゼロから、数年後に年収を数倍にした経営者が書く本は、ある意味すぐれた経営学の著書かもしれませんが、それは、その企業にあてはまることであり、企業経営のヒントになっても、すべての企業にあてはまるものではないということです。
教授の言葉を借りれば、それに対して経済学は、普遍性を持っているということでしょう。
数学を駆使して、企業活動をグラフ化するミクロ経済学よりも、経営学のほうがとっつきやすいです。
多くの経営者の方が経営の成功本を読みますが、それは、あくまでヒントにするべきで、それを自分の会社に鵜呑みに当てはめてはいけません。そこには、取捨選択やなんらかのオリジナルなアレンジが必要です。
経済学は、大きくミクロ経済学とマクロ経済学の2つに分かれ、マクロ経済学を学んでいると、新聞に書いてある経済記事がより分かり易く理解できます。

今回の研修は、日本で有数の経済学者がこの不景気における「企業経営」についてどんなことをしゃべってくれるだろうかということに興味がありました。経済理論を熟知している人が「企業経営」に関してなにを言うかということに興味がありました。
100年に一回の大不況と言われる現在の不況ですが、伊藤氏の個人的見解によると、人類史上最大の不況であるとも言っていました。景気回復は、現在世界中に溢れているドルの暴落からはじまるかもしれないとも言っていました。
この大不況は、日本だけの問題ではなく、アメリカ、中国、新興国の実態を注視していかなければならないそうです。

UP TO DATEな話題として、環境問題と経済の両立についても話していました。
「日本の環境政策には限界があり、市場的な手法の導入が必要だ。個人や企業が自分の問題として考えることが大事。企業も将来的なチャンスとみれば必死に取り組むだろう」と述べていました。
私が懇親にさせて頂いているNPOサプライズのメンバーの方たちは、環境問題を自分の問題と捉えていて、氏の話からはずれていない方向にあると感じました。

企業経営については、もう少し踏み込んだ話を聞きたかったです。
生臭い企業の実態に接している税理士には、少し退屈な話もありましたが、これから、新聞の読み方も少し変りそうです。

伊藤氏講演の要旨を読んでみたい方は、川口明彦税理士事務所までご連絡ください。
FAXを差し上げます。

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Posted by taxman at 16:07 │税理士日記
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