2010年01月08日

個人事業主の年金負担、出産費用の軽減

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 1月号 ★


新年にあたり、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

◆ 平成22年1月の税務

1月12日
●前年12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

2月1日
●前年11月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●源泉徴収票の交付
●支払調書の提出
●固定資産税の償却資産に関する申告
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●5月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、8月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(9月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●給与支払報告書の提出

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○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第4期分)
○給与所得者の扶養控除等申告書の提出



◆ 年金負担と個人起業

■国民年金の被保険者
 
 被用者年金制度(厚生年金保険・共済組合)に加入できない自営業、農林漁業、学生、無職の人などが国民年金の主たる加入対象者、保険料支払者です。
税理士や弁護士や医師も多くは個人事業者で国民年金の被保険者です。


■個人事業所での社会保険
 
 個人事業所は従業員5人以上のとき社会保険の強制適用事業所となります。5人未満の事業所の従業員は国民年金・国民健保への加入となりますが、その規模の事業所でも社会保険への任意加入はできます。
 なお、社会保険は被用者保険ですから、従業員は厚生年金・健康保険の被保険者になり、そしてその保険料の半分は事業主の負担になるものの、個人事業主はこれら社会保険の被保険者にはなれません。


■年金保険の保険金の落差
 
 個人事業主の加入する国民年金の保険金は最高にもらえても年額80万円未満です。
 雇われている被用者が入る厚生年金の場合、平均的な人のモデル年金は月額24万円とされています。
 この数字の差には唖然とするものがあります。自分の事業所で働いている従業員は将来月額24万円の年金を受け取れるのに、その保険料の半分を負担している自分は月額6万6千円しかもらえない、ということなのですから。


■日本再生は活発な個人起業がないと
 
 多くの脱藩官僚は政治家に学者に評論家になっています。勤め先で力をつけて大きな組織から自立して起業することができれば素晴らしいことです。こういう自立が羨ましがられる社会であるべきです。
 しかし年金制度は、個人起業者が輩出し、成功とともに法人成りして大企業になっていくジャパニーズドリームに水をさしています。


■給付つき年金保険料税額控除の提案
 
 自立して頑張っている個人事業者が、他人を雇用して給与を支払った場合、支払給与に係る社会保険料の事業主負担分は経費としてではなく、「給付つき税額控除」とすることができる、というような制度にでもなれば、起業インセンティブが効いて日本再生の特効薬になるかもしれません。



◆ 直接支払制度で出産費用負担軽減

■支給額が4万円引き上げられる
 
 健康保険の被保険者や被扶養者が出産した時に支給される「出産育児一時金」は、38万円となっていましたが、平成21年10月から42万円に引き上げられました。 産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した場合で、それ以外では35万円から4万円引き上げられ、39万円となります。


■4万円上乗せ助成は23年3月まで
 
 対象となる出産は妊娠4カ月(85日)以降の分娩、死産等です。4万円の追加支給は緊急少子化対策として、平成23年3月までに出産する方を対象としています。
又、新政権のマニフェストによると今後ほぼ自己負担なしに出産できるようにと、一時金は55万円まで助成を行う事が案として出されています。出産時の費用負担が軽くなるのは助かりますが、子ども手当の財源確保も難しい中、実現はかなうのでしょうか。


■手続きは医療機関等へ直接
 
 今までは原則として出産後に、被保険者が申請し、本人に「出産一時金」を支給していましたが、10月からは被保険者が医療機関等に「直接支払い制度」を利用する旨の合意を申し出て、医療機関が出産一時金相当額を本人に代わって協会けんぽ等保険者に請求する仕組みとなりました。
 まとまった出産費用を事前に用意する必要はなく、出産費用が一時金の額を超えていた時は、差額だけを支払えばよいので、一度に大きな額を負担する事がなくなりました。又、退職日まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、退職日から6カ月以内に出産した場合で、在職中に加入していた健康保険からの出産一時金の支給を希望する場合は「資格喪失証明書」を医療機関等へ提出する事で直接支払制度を利用する事ができます。かかった費用が一時金より少なかった時は「出産育児一時金支給申請書」に「領収明細書」を添えて、協会けんぽ等保険者に差額を請求します。


■直接支払制度を希望しない場合
 
 従来通り、先に医療機関等へ被保険者が費用を支払い、後日支給申請書を協会けんぽ等保険者に請求する事も出来ます。その場合には医療機関等で直接支払制度を利用していない事が明示された「代理契約に関する文書」及び「領収明細書」を申請書に添付します。



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川口 明彦 税理士事務所
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