2010年03月12日
扶養親族の考え方、社会保険&国民健康保険
★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2010年3月号 ★
日中の暖かさに春の訪れを感じます。
皆様ますますご健勝のほどお喜び申し上げます。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
◆ 平成22年3月の税務
3月10日
●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3月15日
●所得税確定損失申告書の提出
●前々年分所得税の更正の請求
●個人の青色申告の承認申請
●前年分所得税の確定申告
●贈与税の申告
●前年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税及び事業所税の申告
3月31日
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
◆ 母は強し、扶養親族の綱引き
■離婚し、子は母方に
離婚後、養育費その他の費用を負担している父と、日常の起居を共にしている母とが、それぞれの勤務先に長女を扶養親族とする「扶養控除等申告書」を提出しているような場合、法律は、どちらか一方の扶養親族として調整することを要求しています。
■調整不能時の判定
では、その調整ができない場合にはどういうことになるのでしょうか。判断基準を考えるとしたら次のどれになるでしょうか。
①現実に長女と日常の起居を共にし、より多くの養育費を負担している者を優先すべきである
②納税者有利の原則から所得の大きいほうの扶養親族にすべきである
③長女を扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」を先に勤務先に提出したほうを優先すべきである
■あなたの見解は?
なんとなく、①が最も正論、②は現実論とは言えるもののスジ論としては弱そう、③は意外な回答サンプルを提示するための異端な屁理屈、と思えそうです。
実際、この問題で係争となった事案があり、国税不服審判所の裁決が出ています。
■審判所の見解は!!
①は母親の見解で、母親は税務署から長女を扶養親族とすることを否認され、増額更正処分を受けました。②は税務署の見解で父親側に味方しました。③は審判所の判断で、一転して母親に軍配をあげました。
審判所の裁決は、母親の見解も税務署の見解も否定し、第3の見解としての③を判断根拠としました。③をもって法律の正しい解釈とするのは意外に思えますが、法令をよく読むと、確かに③とするのが正解になっています。
■法令の内容は次の通り
法令には、①の見解の根拠になる規定はなく、規定があるのは②と③についてで、まず、勤務先に提出する扶養控除等申告書の提出の時間的先後をもって決着させるものとして③があり、それが決せられない場合は所得の大きい者の扶養親族とするとの②があります。
審判所は、各勤務先に扶養控除等申告書の提出された日を問い合わせて、母親の提出日が早いことを確認して、母親の申告を優先採用するものとしました。書類は速やかに提出しておいたほうが有利なのです。
◆ 健康保険と国民健康保険
私達は一般的に何らかの健康保険制度に加入しています。業務外の事由による疾病、負傷、若しくは死亡、及び出産等本人並びに被扶養者も、保険給付を受けています。
■4種類の健康保険
健康保険には主に4つの種類があります。
1.全国健康保険協会官掌健康保険
2.健康保険組合
3.国民健康保険組合
4.国民健康保険
(他に後期高齢者医療制度があります。)
運営について、健康保険は全国社会保険協会(以前は政府官掌保険)が保険者となり、健康保険組合は各健康保険組合が、又国民健康保険は原則として、市区町村が保険者となります。
■健保の違いは大きく分けると2つ
各々の違いの一つ目は、加入者の構成です。国民健康保険は自営業者等のうち、個人経営者や、フリーター等、企業で加入している健康保険には加入しない人が対象です。健康保険は法人で働いている人が対象で、法人の経営者も該当します。但し、法人でも大企業が単独で、あるいは同業者が集まり健康保険組合を作っているような時は組合の加入員となります。同じように、国民健保組合は同業者の集まっている組合ではありますが、給付は国保に近いです。
二つ目の違いは、保険給付にあります。病院等に支払う治療費は患者が3割負担、保険者が7割です。これは4種類とも同様です。
■給付の良さは保険料の差
給付のうち、傷病手当金や出産手当金等(傷病や出産で休職し、賃金が減額された時に給付される手当)は国民健康保険では原則として支給されません。
さらに違うのは国民健康保険では扶養という概念はなく、被扶養者であっても保険料は世帯の加入者数に含まれて計算されます。
健康保険や健康保険組合は被扶養者に保険料はかかりませんが、事業主負担分もあり、給付も厚いため、保険料は一般的には、国民健康保険料に比べ高くなります。
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川口 明彦 税理士事務所
〒410-0823 静岡県沼津市我入道東町90番地
http://www.kaikei-home.com/kawaguchi/
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日中の暖かさに春の訪れを感じます。
皆様ますますご健勝のほどお喜び申し上げます。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
◆ 平成22年3月の税務
3月10日
●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3月15日
●所得税確定損失申告書の提出
●前々年分所得税の更正の請求
●個人の青色申告の承認申請
●前年分所得税の確定申告
●贈与税の申告
●前年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税及び事業所税の申告
3月31日
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
◆ 母は強し、扶養親族の綱引き
■離婚し、子は母方に
離婚後、養育費その他の費用を負担している父と、日常の起居を共にしている母とが、それぞれの勤務先に長女を扶養親族とする「扶養控除等申告書」を提出しているような場合、法律は、どちらか一方の扶養親族として調整することを要求しています。
■調整不能時の判定
では、その調整ができない場合にはどういうことになるのでしょうか。判断基準を考えるとしたら次のどれになるでしょうか。
①現実に長女と日常の起居を共にし、より多くの養育費を負担している者を優先すべきである
②納税者有利の原則から所得の大きいほうの扶養親族にすべきである
③長女を扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」を先に勤務先に提出したほうを優先すべきである
■あなたの見解は?
なんとなく、①が最も正論、②は現実論とは言えるもののスジ論としては弱そう、③は意外な回答サンプルを提示するための異端な屁理屈、と思えそうです。
実際、この問題で係争となった事案があり、国税不服審判所の裁決が出ています。
■審判所の見解は!!
①は母親の見解で、母親は税務署から長女を扶養親族とすることを否認され、増額更正処分を受けました。②は税務署の見解で父親側に味方しました。③は審判所の判断で、一転して母親に軍配をあげました。
審判所の裁決は、母親の見解も税務署の見解も否定し、第3の見解としての③を判断根拠としました。③をもって法律の正しい解釈とするのは意外に思えますが、法令をよく読むと、確かに③とするのが正解になっています。
■法令の内容は次の通り
法令には、①の見解の根拠になる規定はなく、規定があるのは②と③についてで、まず、勤務先に提出する扶養控除等申告書の提出の時間的先後をもって決着させるものとして③があり、それが決せられない場合は所得の大きい者の扶養親族とするとの②があります。
審判所は、各勤務先に扶養控除等申告書の提出された日を問い合わせて、母親の提出日が早いことを確認して、母親の申告を優先採用するものとしました。書類は速やかに提出しておいたほうが有利なのです。
◆ 健康保険と国民健康保険
私達は一般的に何らかの健康保険制度に加入しています。業務外の事由による疾病、負傷、若しくは死亡、及び出産等本人並びに被扶養者も、保険給付を受けています。
■4種類の健康保険
健康保険には主に4つの種類があります。
1.全国健康保険協会官掌健康保険
2.健康保険組合
3.国民健康保険組合
4.国民健康保険
(他に後期高齢者医療制度があります。)
運営について、健康保険は全国社会保険協会(以前は政府官掌保険)が保険者となり、健康保険組合は各健康保険組合が、又国民健康保険は原則として、市区町村が保険者となります。
■健保の違いは大きく分けると2つ
各々の違いの一つ目は、加入者の構成です。国民健康保険は自営業者等のうち、個人経営者や、フリーター等、企業で加入している健康保険には加入しない人が対象です。健康保険は法人で働いている人が対象で、法人の経営者も該当します。但し、法人でも大企業が単独で、あるいは同業者が集まり健康保険組合を作っているような時は組合の加入員となります。同じように、国民健保組合は同業者の集まっている組合ではありますが、給付は国保に近いです。
二つ目の違いは、保険給付にあります。病院等に支払う治療費は患者が3割負担、保険者が7割です。これは4種類とも同様です。
■給付の良さは保険料の差
給付のうち、傷病手当金や出産手当金等(傷病や出産で休職し、賃金が減額された時に給付される手当)は国民健康保険では原則として支給されません。
さらに違うのは国民健康保険では扶養という概念はなく、被扶養者であっても保険料は世帯の加入者数に含まれて計算されます。
健康保険や健康保険組合は被扶養者に保険料はかかりませんが、事業主負担分もあり、給付も厚いため、保険料は一般的には、国民健康保険料に比べ高くなります。
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川口 明彦 税理士事務所
〒410-0823 静岡県沼津市我入道東町90番地
http://www.kaikei-home.com/kawaguchi/
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Posted by taxman at 08:49
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