2012年10月06日

相続分の譲渡、介護保険の仕組みと流れ

★ 川口明彦税理士事務所 事務所だより 2012年10月号 ★

風の中に秋を少しずつ感じるようになりました。
季節の変わり目です。お風邪などお召しになりませんよう
お気をつけください。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。


平成24年10月の税務

10月10日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

10月15日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知

10月31日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

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○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)


相続人の地位の譲渡 相続分の譲渡  


 相続分の譲渡は、あまり馴染みのない言葉ですが、民法にもその規定があることから、相続における遺産分割の一形態として利用されています。当然、相続財産が未分割であることが前提です。


◆相続分の譲渡とは
 
 この相続分の譲渡ですが、遺産に含まれる個々の相続財産の持分の譲渡でなく、被相続人の財産の総体、すなわち、現預金、不動産、有価証券といった積極財産と借金や債務といった消極財産を含む遺産全体について、その相続人の法定相続分の譲渡ということになります。まさに、相続人の地位の譲渡です。この譲渡は、有償、無償を問いません。
 相続分の譲渡は、他の相続人はもちろんのこと相続人以外の第三者に対してもすることができますが、その殆どが他の相続人に対する譲渡です。
 この相続分の譲渡の実行は、多くの場合、相続人間での遺産分割協議がなかなかまとまらず合意に至らなかったとき、また、早く解決をしたい、あるいは相続の争いに巻き込まれたくない、というのが大きな理由の1つです。


◆相続人に対する譲渡
 
 他の相続人への相続分の一部又は全部の譲渡は、譲り受けた相続人にはその相続分が増加し、一方、譲り渡し相続人は、その相続分は減少します。
 そして、相続分の譲渡が有償であれば、一種の代償分割ということになり、たとえ、無償であっても遺産分割手続きの一環であることから贈与課税の問題も生じません。


◆相続人以外の第三者に対する譲渡
 
 これに対して、相続人以外の第三者に対する譲渡は、譲受人の第三者が遺産分割協議に加わるなどして、複雑な関係を招来させる可能性があります。
 例えば、相続分の譲渡人は、被相続人の債権者から債権弁済の請求を拒むことはできませんし、相続分の全部を譲渡した相続人であっても相続税の申告義務は免れません。
 また、相続財産に不動産などが含まれていれば、譲渡所得の申告が必要な場合もあり、その譲渡の申告期限は、譲渡した年分か、それとも遺産が分割された年分か、といった問題など多くの課税上の未解決問題があります。よほどのことがない限り、相続人以外の第三者に対する相続分の譲渡は控えるべきでしょう。


介護保険の仕組みと流れ


◆40歳以上の人が加入する公的保険
 
 介護保険は、将来、介護を必要とする状態になった場合に介護サービスが利用できる制度で、平成12年に創設されました。
 運営は各市区町村が主体となり、加入者が要介護状態と認められた時に段階に応じて給付が行われます。日本国内に住む40歳以上の人が加入を義務づけられています。


◆第1号被保険者と第2号被保険者
 
 加入者のうち65歳以上の人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人を第2号被保険者と言います。保険料額や納め方、サービスを受ける際の必要条件が違います。
 1号被保険者は要介護・支援認定で認定されればその原因に関わらず、サービスがうけられます。2号被保険者は指定された特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた場合だけサービスが受けられます。
 介護保険料は1号の方は各市区町村より住民税によって決められた額が徴収されます。年金額が年18万以上の人は年金より偶数月に徴収されます。2号の方は加入している健康保険料と共に給与・賞与で一括徴収され、事業主と折半で負担します。但、国保の方は所得割と均等割から計算した額が市区町村より徴収されます。


◆介護サービスの種類
 
 在宅サービスでは訪問介護や老人保健施設への通所、短期利用、介護用品レンタル、住宅の手すりや段差解消改修等があります。施設サービスは介護老人施設等の入所です。利用費用は限度額内、原則1割負担です。全財源のうち半分が保険料で賄われ、残りは国、都道府県、自治体が負担しています。


◆サービス利用と負担の在り方
 
 介護が必要と感じた時には自治体の高齢者福祉課や在宅介護支援センターに認定の申請をすると、調査員が日常の心身状況調査をし、主治医の意見書を作成してもらいます。審査・判定で要介護・支援と認定されたら、区分によりケアマネージャーに相談の上、サービスの種類や程度の計画書を作成した上で、サービスが利用できます。
 平成24年現在、認定者は500万人を超え総費用は9兆円に迫っています。制度開始より12年で2、5倍に膨れ上がっています。これからの高齢者人口を考えると制度維持には給付と負担の在り方を洗いなおす必要があるでしょう。


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川口 明彦 税理士事務所
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