2009年12月14日

ポール・サミュエルソン博士

近代経済学の第一人者、ポール・サミュエルソン博士が94歳でお亡くなりなった。
アメリカ民主党、現オバマ政権の経済政策にも大きな影響を与え、ブッシュ前政権による金融市場の行きすぎた規制緩和を、「富裕層優遇」とし、「ブッシュ大統領は米国の歴史上、最悪の大統領として記憶されるだろう」と批判した。現在の経済不況も環境問題も一部の金持ちたちの行きすぎた利益追求が原因の一つであろう。

サミュエルソン博士が、名著『サムエルソン経済学』を書いたのは、彼が33歳の時。40数カ国の言語に翻訳され、発行部数は400万部を超える。
難解なケインズ経済学理論を学生でも理解できるような書物で著したのは、サミュエルソン博士だからできたことであろう。ノーベル経済学賞が創設されたのは1969年、サミュエルソン博士は1970年に同賞を受賞していて、ノーベル経済学賞はサミュエルソンのために創設されたという話まである。

『サムエルソン経済学』の序文で、「主役である読者へ」として、本の読み方を示唆されている。

「各章ごとに、全体の展望を得るための基礎的な考え方を探りだすことから始めるのがよい。
まず、当てがわれた教材部分をざっと読み、要約部分に目を通し、そして主要な概念や定義を頭に入れる。
その上で次に、その教材部分を注意深く熟読し、重要と思われる文章にアンダーラインをしたり、焦点となっている考え方についてノートをとる。それからもう一度章末の要約を読んで記憶を新鮮にし、主要概念の復習をしたうえで、とりあげた章の中の重要要点を再確認できるようその章全体を振り返ってみる。こうした方法をあなた方はとられるとよいと思う。」

『サムエルソン経済学』の原著序文では、冒頭でバーバラ・タックマンの言葉を引用している。

ー書物とは文明の担い手である。書物なくしては、歴史は何も語りえず、文芸は口がきけず、科学は片隅となり、想念や思弁も行き詰まる。
 書物は、変革のエンジン、世界への窓、時世の大海に建つ灯台にほかならないー


また巨星が旅立った。
合掌。

  • LINEで送る

同じカテゴリー(books)の記事画像
近藤等則
香陵同窓会報 2017
大岡信さん
管理会計は仕事の中心
管理会計は「考える」会計
酒井克彦教授『スタートアップ租税法』
同じカテゴリー(books)の記事
 今を頑張る (2023-03-12 10:53)
 美輪明宏さんの言葉 (2022-08-11 08:53)
 『税務弘報』と『月刊税理』 (2022-06-08 10:32)
 小嶺忠敏先生~あきらめないということ (2022-01-16 08:09)
 選手権 決勝  青森山田vs大津高 (2022-01-10 10:02)
 優しい人、想像力 (2021-11-12 14:52)
Posted by taxman at 20:26 │books
削除
ポール・サミュエルソン博士